W.年商10・30・50・100億の壁を突破させる法則

《1.経営規模との戦い》
経営の一つの戦いは規模との戦いである。
規模の尺度とは年商と従業員数であるが、正確に観ると従業員数である。年商規模は業態(製造業・建設業・卸売業・小売業)により、その持つ意味が違う。同じ10億でも製造業なら従業員数は30人以上になるが、卸売業なら20人未満であろう。しかも同じ製造業でも業種によって従業員数は異なる。経営規模毎の特徴を押える時は従業員数で見る方が間違いはない。
下の図表 【会社の成長軌道】をご覧いただきたい。 参考までに年商規模を入れているが、従業員規模毎で観ていただきたい。従業員が@20人までは社長絶対依存経営スタイルである。次にA多面的展開経営で成長軌道にのると50人ぐらいになる。そしてB複数事業部等の多機能的展開経営を図ると100人ぐらいになる。最後にC成長性を維持しながら、全体のバランスがとれると200人以上になる。
会社の成長軌道
●売上高10億の壁を突破する方法の詳細はこちらをご覧ください。
●売上高30億の壁を突破する方法の詳細はこちらをご覧ください。
●売上高50億の壁を突破する方法の詳細はこちらをご覧ください。

《2.会社の成長軌道》
ステップ1
創業期は、生きていくために必死で、数少ない顧客に喜ばれることのみを考え、朝早くから夜遅くまで寝る間を惜しんで働く。その姿勢が認められ、@顧客基盤が少しずつ出来上がり、提供するA商品基盤も少しずつ出来上がる。そして先導者としての社長の姿勢が自然と会社のB風土基盤を形成していく。この状態は会社の成長軌道における基礎固め時期である。

ステップ2
会社の人数が増え始め、会社が急激に大きくなる急成長期がくる。この期で全社員が1人3役・5役ではなくなり、1人2役ぐらいで業務をこなしていく。そうなると、営業部門、製造部門、総務部門などの原型が出来始める。これがC機能基盤の出来始めである。
そして、機能基盤で組織図が描けるようになると、成長軌道の安定期に入っていく。安全期とは「会社が安定した状態はなく、そこそこ基盤が出来た状態」である。メーカーで3億、商社で7億、小売で5億ぐらいの年商になる。

ステップ3
企業規模も20人、30人と大きくなる。会社の規模が成長したから、基盤もさらに強化されていると思いたい。しかし、逆に弱っている事が多い。今までより「バラバラ状態」になることが多い。安定期に入るとは「経営者が現場かの仕事から離れても現場が回る状態」でもある。そうなるとオヤジの背中を感じ、風土を形成してきた中小企業には、「お手本」が現場から無くなるので、代わりに「語り部」の存在」が必要になる。しかし、居ない。
また、創業期にお世話になった顧客・商品がこの規模になっても貢献してくれているとは限らない。販売・製造することで赤字になっている顧客・商品は創業期からのお付き合いのケースが多い。

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ステップ4
安定期の次の成長軌道は膨張成長期である。エリアの拡大、設備増強に伴う拡大であるが、中身が伴っていない事が多いので成長ではなく膨張傾向となる。この多面的な展開には必然的にD財務基盤が条件となる。創業期から培ってきた経営者の個人資産や信用、そして規模的成長を担保とする内容が、財務基盤として活用出来始める。そして人数増加に伴い、必要となるのが「ルールと基準の整備とシステム化」である。「社長が歩くルールブック」から脱皮し、会社の仕組みづくりに取り掛からねば、ロスの発生が増加したり、効率が悪化したり、収益性が極端に落ちる。この段階でE管理基盤の強化に着手し始める。

ステップ5
そして最後に「会社の成長スピードは人の成長スピードより確実に早い」現実に悩まされる。経営者は自分と差が広がりすぎた幹部の教育・育成に力を入れ始める。そして幹部の成長スピードにイライラしながらF人材基盤が少し出来上がるのである。

節目の企業規模を突破する為には、必ず節目に対応する経営基盤の見直しと再構築が必要になる。これを怠ると会社は機能不全に陥り、失速していく。
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