V.50億の壁を突破出来ない企業の実例

《1.【必要機能が会社の成長に追いつけないイケイケ集団】の事例C社》
(1)会社概要
@創業15年で6営業所・3工場で年商25億-35億−46億と急成長をした環境関連業種の会社である。
A若い集団で関連分野に積極的に進出し、多角的な展開を図っていた。
B全体をコントロールする本部機能が弱く、組織の運営方法が未熟で各部門ごとでの相乗効果が発揮されていない状態であった。

《2.突破できずに苦しんでいた状況》        ( )数値は全国平均
・経営方針に関し、不明確とする社員が51%(26%)と高く、方針が浸透しているとする社員は10%と多い
会社の方針、理念などを書面で発行して、社員全員に伝えて欲しいとの要望があったが、現状の会社の考え、方針などを知る方法がなくて、社員は戸惑っていた。

急激な成長と社員増加により管理体制が整っていない為に不満が出ていた。その対策としてエリア開拓を推進していたNO2の専務を本社に呼び戻し、本部機能の強化に乗り出そうとするが、その方法を知らなかった。

・会社の経営状態は安定している45%(25%)
・この会社に入社してよかったとする人が48%(27%)
従業員、営業所、工場が増え、会社が成長している実感はあった。地域でも会社名が知れるようになると、社員のモチベーションは上がり、より一層働くようになった。

・社内の規律が守られていないとする人が31%(21%)
・上司の指示・命令がはっきりしない人が68%(45%)
部門長の層はそれなりの人数はいるが、マネージメントスキルが弱い為に、組織として機能しにくくなっている。これはこの規模ではよくある事であり、典型的な管理者の力量不足及び人不足

つまり、部門長はいるが、部門経営者がいない為に起こる現象である。全社戦略展開を推進しなければならない人が部門内の業務に追われている事が原因である。

本部機能が脆弱な為に発生した問題点
急成長し始めて入社した層が推進する本部機能強化施策に対し、会社の急成長を支えた層がついて来れない場面が多くなり、ぶつかりあっていた。

関連分野へ積極的に進出し、拡大した事業所体制で赤字事業所が次から次へ発生した。個別事業所と全体での相乗効果を展開していく本部機能ではなく、社長と社員の個別キャッチボール運営を脱皮できていなかった。結果、一人当たり生産性は下がっていった。

・規模からくる意識は地域の大企業だが、「やっている事は中小企業」で社員同士の触れ合いが少なく、中小企業の良さも消えた人間マシーン化した職場になりやすい。

・会社の形態をシステム化し、組織運営力で問題点をカバーする事が必要である。全体調整を図るのが経営本部であり、部門内を調整するのが各部門本部である。本部機能を強化しないと組織は適正に動かず、業績は傾いていく。

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