それは社長以外に誰も資金繰りを考えていないからである・・・・
■専門バカが多い会社
資金繰りとはこれから先の入りと出の状況を把握し、素早くバランス策を取る事である。
『販売なくして事業なし、資金なくして継栄なし』これは経営運営の常道であり、息を吸ったら吐くように繋がらないといけない。これが繋がらないから経営者は苦悩する。繋がらない会社の共通点は専門バカが多い会社によく見受けられる。
専門バカとは自分の得意分野しか興味がなく、会社を運営するその他の施策に見向きもしない人の事であり、材料を仕入れ、製品を作り、販売しても納品・検収までしか興味がなく、その先の代金の回収・仕入れ代の支払等は何処吹く風状態である。
■成長している企業の何も考えない患部
成長しているある建設業企業の現場部門のトップにI部長がいる。基本業務として下請け業者の管理等を中心に役割を持っているが、全く部門のコントロールタワーの機能を果たしていない。通常、建設業の場合、実行予算を組み、工期の進捗状況に合わせ、許容原価をはじき出し、目標利益を確保する為に最終原価の調整を行う。この機能を入れないと実行予算で組んでいる利益は取れず苦戦する。
その為にはキチンと各現場監督から日報を上げさせ原価管理をしないと出来ない。しかし、このI部長は自分が現場を回るのが好きで、会社におらず、原価管理など出来る状態ではない。ましてや施主からの入金状態、業者に支払う出金状態など全くチェックをしない。そうなると、各現場監督はどうしても業者に対しての支払いを優先してしまい、入金と出金が逆ザヤになり、資金繰りは売上が向上しても厳しくなる。
自分の会社に資金がないのに、業者には気前よく支払う。これはエエカッコしではなく、何も考えないお馬鹿さんである。
このような人は、会社に資金がなく、賞与が出せない状態に陥った時に、自分達はこれだけ頑張り、売上を向上させたのに、何故なんだと言い張るだろう。資金無くして経営なしは、経営の常道であり、資金に関して自覚症状が無いところがことのさら厄介である。