何故、会社がうまくいかないのか?
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何故、中小企業の賃金改革は必ず、失敗するのか?
それは賃金改革を全社戦略としてとらまえないからである・・・
賃金制度の側面だけでみるから、経営上の本質的テーマが観えてこない。
多くの経営者が悩んでいるテーマは人件費変動費化による収益構造改革である。
いくら賃金制度を改定しても原資が増えなければ、賞与は増えない。原資を増やす為には業績の検討をしなければ増えない。
評価で納得する為には人から与えられた評価項目では納得しにくい。ならば社員達で評価項目を今期の経営方針・目標に則って作成させればよい。
賃金は社員にとって見れば自分が主人公のテーマである。
経営者が一人で悩むから上手くいかないのである。
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何故、資金繰りが慢性的に苦しいのか?
それは社長以外に誰も資金繰りを考えていないからである・・・・
■専門バカが多い会社
資金繰りとはこれから先の入りと出の状況を把握し、素早くバランス策を取る事である。
『販売なくして事業なし、資金なくして継栄なし』これは経営運営の常道であり、息を吸ったら吐くように繋がらないといけない。これが繋がらないから経営者は苦悩する。繋がらない会社の共通点は専門バカが多い会社によく見受けられる。
専門バカとは自分の得意分野しか興味がなく、会社を運営するその他の施策に見向きもしない人の事であり、材料を仕入れ、製品を作り、販売しても納品・検収までしか興味がなく、その先の代金の回収・仕入れ代の支払等は何処吹く風状態である。
■成長している企業の何も考えない患部
成長しているある建設業企業の現場部門のトップにI部長がいる。基本業務として下請け業者の管理等を中心に役割を持っているが、全く部門のコントロールタワーの機能を果たしていない。通常、建設業の場合、実行予算を組み、工期の進捗状況に合わせ、許容原価をはじき出し、目標利益を確保する為に最終原価の調整を行う。この機能を入れないと実行予算で組んでいる利益は取れず苦戦する。
その為にはキチンと各現場監督から日報を上げさせ原価管理をしないと出来ない。しかし、このI部長は自分が現場を回るのが好きで、会社におらず、原価管理など出来る状態ではない。ましてや施主からの入金状態、業者に支払う出金状態など全くチェックをしない。そうなると、各現場監督はどうしても業者に対しての支払いを優先してしまい、入金と出金が逆ザヤになり、資金繰りは売上が向上しても厳しくなる。
自分の会社に資金がないのに、業者には気前よく支払う。これはエエカッコしではなく、何も考えないお馬鹿さんである。
このような人は、会社に資金がなく、賞与が出せない状態に陥った時に、自分達はこれだけ頑張り、売上を向上させたのに、何故なんだと言い張るだろう。資金無くして経営なしは、経営の常道であり、資金に関して自覚症状が無いところがことのさら厄介である。
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何故、同業種を同地域で同時期に始めても、会社に差が出るのか?
それは社員の基本的行動の質の差である・・・
同じ時期に、同じ地域で、同じ業種を始める事は物選び、地域選び、スタート時期が同じ事を意味する。それでも業績に差が出るのが会社経営である。
私も同業種を同地域で同時期に始めたA社、B社をお手伝いするケースが幾つかありました。(時期はちがうけれど)
■成長できる企業と出来ない企業の特徴
その時に感じた成長企業と成長できない企業の特徴ですが、
〇成長企業の社員は、指摘されなくてもメモを執る習慣を身につけている。しかし、成長できない企業の社員は余程記憶力が良いのか不思議とメモを取る習慣がない。
〇社内で決められた事に対する意識の違いがある。成長企業は守らなければいけない意識が社員にあるが、成長できない企業は決められた事に対する意識が低く、守ろうしない。
鶏が先か卵が先かではないが、成長したから出来るようになった、出来るから成長してきたと聞かれれば、後者の出来るから成長してきたが答えである。
この差は経営者が会社の人間集団の基礎的レベルを上げることに注力を注いだ時間・知恵・執念の違いであろう。
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社長一人ではなく、全社員参画型経営を思考せよ
自ら考え、判断し、行動し、責任を取る人財を創る為にも・・・
■全社員が同じ目標に向け努力する
参画とは自ら考え、判断し、行動し、責任を取る事である。
そこには苦悩があり、楽しさがあり、喜びがあり、そして自分が必要とされている満足感がある。
中小企業には経営者・役員・幹部・中堅社員・一般社員と基本的な階層がある。夫々に役割は違えど、全社員が同じ目標に向け努力する事は変わらない。
■全社員参画型の思想
中小企業の問題点として『経営者の方針が浸透徹底しない事』がよく挙げられる。これも全社員参画型の思想がないから起こる現象である。最近は経営計画書を作成する会社も増えてきているが、方針が浸透・徹底していない会社の作成方法には共通点がある。
経営者が経営方針を作成し、数値目標を立案し、そして発表会をやるケースである。このケースは経営者として方針・数値をまとめる作業としてはよい。しかしそれを具体化する点に問題が発生する。何故なら、経営者が独りで作成するから、『方針を具現化する商材戦略・戦術・戦闘の機能』が会社から無くなるからである。
■経営者への依存度を減らす
このような会社は経営者と社員の差が有りすぎて、経営者への依存度が高い。
つまり、社長一人があくせくやってもしょうがない。役員、部門長、中堅社員、一般社員の全員が、自分の役割に対してあくせく努力するから、結果と目標が達成出来る。
参画とは自ら考え、判断し、行動し、責任を取ることである。唯単に会社に居るだけの人在を育ててはいけない。
自ら考え、判断し、行動し、責任を取る人財を創る為にも全社員参画型経営のスタイルを構築しないといけない。
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何故、幹部はマネージメントを執れないのか?
それは能力がないのではなく、経験した事がないだけ・・・
■中小企業のマネージメントスタイルはプレイングマネージャー
中小企業のマネージメントスタイルはプレイングマネージャーである。このプレイングマネージャーとは現場の仕事をやりながら、マネージメントを行う事である。
サッカーで例えるとグラウンドでボールを蹴りながら選手交代等の作戦展開を考える人ですが、現実的にサッカーの世界には誰もプレイングマネージャーはいない。
仮に、あなたがサッカーチームのプレイングマネージャーとしてピッチに立って、息をゼイゼイさせながら走り、選手交代・作戦展開を考えられますか?メッシもやった事はなく、それだけ両立させる事が難しい役割である。
■ぶっつけ本番でマネージメントに挑戦する現実
中小企業の社員は現場の仕事ができるようになると、マネージャーになる。最初からマネージメントが出来そうな人を抜擢することはない。
そして、日本の義務教育ではマネージメントのカリキュラムはない。必然的に学生時代にクラブ活動のキャプテンをやれば体験の中から方法を覚えるが、ごく僅かな人しか体験出来ない。つまり、多くの部門長がマネージメントを執りなさいと言われてからぶっつけ本番でやっているのが実態である。
大手企業は役職の昇格に伴い、様々な研修を受けて、準備に備える。自動車免許で考えると、仮免許を取ってマネージメントに挑戦するが、中小企業にそんな余裕はなくぶっつけ本番で初めてマネージメントを経験するわけだから、上手くいかないのが当然である。
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何故、社員は社長に依存しすぎるのか?
それは経営者の価値判断基準を社員に植えつけないからである・・
■人間関係の基本である親子の関係
親の子離れ、子の親離れに表面上は似ているが、親子の関係はいつかは互いに自立した人間に変化成長していく。しかし社員はいつまでも社長に依存しすぎる傾向にある。
それは親子の関係では大人としての価値判断基準・行動の仕方・振る舞い等を教える事によって自立させていく。
■経営者の価値判断基準を社員に移植させる
しかし、中小企業では経営者の価値判断基準を社員に移植させる工夫が足りない。例えば経営数値の話になると計数の意味がわからず、活用できない。そうなると数値から遠ざかり特に資金繰りなんかは社長に100%依存型企業が多すぎる。
何をどの様に判断してよいかわからないから、結局経営者にお伺いをたてるようになる。会社の最高意思決定者は経営者であり、その経営者の価値判断基準を多くの社員が理解する事により、社員は自ら判断できるようになる。
そうなる事で社長への依存度は低くなるのである。
決して中小企業の社員は能力がないから、出来ないのではなく、やった事がないから今は出来ていないにしか過ぎない。我々凡人の持つ能力は大して変わらない。
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何故、人の成長スピードは会社の成長スピードより遅いのか?
企業の規模に応じた対策を講じないとほころびが出始める・・・・
■会社が成長し、問題が発生して人財育成に力を入れる現実
人・物・金のナイナイ尽くしの中小企業には余裕はなく、成長し、社内に歪みが出て、待ったなしの状態で人財育成に手を打つからである。
中小企業の成長は経営者の成長スピード・動きに比例するが、社員の成長スピードには比例しない。従来の育成パターンは、部門長をやらせて、出来なければ教育させる等の措置をとるが、本来その時点で遅い事に気づかねばならない。
会社の規模が5億から10億、10億から30億、30億から50億、50億から100億を目指すときには組織運営のギアをチェンジしなければならない。
■会社の規模的成長は危険度増加をもたらす
企業に危険度・問題点・病気をもたらす要因特性の一つとして企業の規模への対応能力がある。会社の規模的成長は危険度増加をもたらす。そこで身の丈に合った経営態を創らねば、成長気味=膨張となり、企業の危険度が増すだけである。
企業の規模対応とは、人間でみると、小学生には小学生の生活習慣・骨格に合わせた食べ物・洋服があり、中学生には中学生の生活習慣・骨格に合わせた食べ物・洋服がある。いくら同じ食べ物でも小学生が育ち盛りの中学生の量は必要ない。それと同じように、会社も企業の規模に応じた対策を講じないと健全なる運営が出来ず、至る所からほころびが出始める。
その時に創業以来共に頑張ってきた幹部が権限委譲、公私混同の是正、公開経営等の運営方法の変化に対応出来ない事が多い。情に厚い経営者は我慢強く辛抱するが、中堅・若手社員の目が気になり日々悩む。何かにつけ、舵取り方法の大きな変化を求められるこの段階では会社内にギャップ現象が多発する。
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何故、決まった事が決まった様に出来ないのか?
それはやらせるシステムとやらせる人が居ないからである・・・
■会社の中で決め事が何故、出来ないのか?
会社の中での決め事とは人を動かす第一歩である。その為には具体的に内容を決めないと人は迷ってしまう。具体的な決め事とは固有名称、数値、目標で表させる。その上で決め事の認識を共有化させなければならない。
つまり自分の部署で今月やらねばならない決め事は何かを全員が共通認識を持つ事である。
そしてその決め事をやらせる為には決めっ放しの防止と、キメ細かいチェックをする必要がある。
■決めた事をやらせる2つの方法
その決めっ放しの防止と、キメ細かいチェックを具体的にすすめる為には2つの方法がある。一つはシステム化する事とやらせる人を作ることである。
しかし、システム化は方法論がわからず、やらせる人は社長が口やかましく言うのみ。現場の責任者が決め事を率先垂範しない事が多く、且つやらせる為のマネージメントワークの欠如、決め事を守らない社員を叱ることもしない。
結局真面目にやるより、やらなくても何も言われないので会社にやらない風土が出来上がってしまう。
又、経営者がこのテーマで口やかましく言わざるを得ないから当然、本来の業績を向上させる為の施策に力を注げずにいるから、業績も芳しくない。勿論、前提条件として決め事を作ったうえでの話であるが、多くの中小企業では先ず、この決定事項が出ないのが現状である。
逆に決め事を守る会社は決め事を守らないと仲間から注意されるので、決め事を守る風土が出来上がる。
そうなると経営者は次のステップに力を注力できるので会社は成長していく。
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何故、当たり前の事が当たり前のように出来ないのか?
能力がないから出来ないのではない・・・
■社長の頑張リズムにも限界がある
それは能力がないから出来ないのではなく、今までやった事がなかったり、やり方が解らず今は出来ていなかったり、習慣化されていなかったり、学習能力の差だけである。基礎的な能力が劣る中小企業人間集団の成長レベルを上げる為には『企業基盤の環境を創る事が早道』である。
創業して顧客・商品が少し出来上がるまでは社長の頑張リズムを中心になんとかなる。強烈な個性・姿勢で当たり前の事が出来ない少人数集団をまとめあげる。しかし、企業が安定期になり、社員が増え始めると経営基盤がないと『統一体としての力』が発揮出来にくい。そうなると規模の拡大がもたらすプレゼントはリスクのみとなる。
■経営基盤とは
つまり、経営基盤をつくるとは中小企業の弱点である『やり方がバラバラ』・『ノウハウが会社にない属人化』・『特定の人に依存するマンパワー化』・『決めた事が継続しない』等を解決していく事である。つまり、多くの社員にとって、当たり前の事が出来やすい環境をつくる事になるのである。
■経営者の3ずの執念
当たり前の事をやらせる事は単純作業であるが故に、経営者の飽きず・空かず・諦めずの『3ずの執念』が必要になる。経営者が若くて体力・気力も充実し、将来展望も明るい会社ならよい。しかし20年、30年と中小企業の経営に携わり、定着させようと努力するが、変化がなければ気力も萎えてくる。
人なし・金なし・物なし・管理なしの中小企業はどうしても『その場の思いつきで』で対応しようとするから上手くいかない。
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何故、中小企業の組織はバラバラなのか?
組織はルールがあり、それを遵守するから組織としての・・・
■何故、バラバラなのか?
それは『会社は潰れる生き物』という認識がないからである。
バラバラとは統一されていない事である。会社は何もしなければ潰れるように出来ている。中小企業には組織を統一させる仕組みやルールと基準が出来ていない会社が多い。会社組織では何かの明確な意図を企てないとバラバラになる。
組織運営における基本的な流れは①目的②目標③方針④組織⑤計画⑥役割⑦スケジュール⑧実践⑨成果⑩分配である。これを経営施策で置き換えると経営理念、ビジョン、経営方針、マネージメントになる。
■パッチワーク型経営
最近は中小企業も理念を作成したり、経営計画書を作成したり、賃金制度を改定したり、マネージメントシステムを導入するが、それでもバラバラになっている。
それは一つ一つの経営諸施策を思い付きで構築するから、どうしてもツギハギだらけのパッチワーク状態になるからである。例えば計画書の内容と人事考課の内容自体に関連性がなく、バラバラである為に折角、時間と労力と投入してもダメになる。ましてや何もやっていない会社はいわんやである。
『ルールと基準とは青信号なら渡る、赤信号なら止まる事』であり、それを守るから交通社会は成り立っている。中小企業は会社を運営するルール・基準が決まっていなかったり、あったとしても一部の人しか知らなかったり、知っていても守らなかったりするからバラバラになる。
組織はルールがあり、それを遵守するから組織としての態を成している。
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