自社の価値を「最も高く」買ってくれる先に提供していくべきであり・・・

■マーケティングとは何か
マーケティングは事業において、商品の企画から販売までを含み、更に価格戦略なども含めるとコストや収益性の部分まで関係するため、ほぼ事業の全てをカバーする。マーケティングには、それらを実現するための本質的な考え方がある。
 
それは、「ターゲット」と「商品(製品・サービス)コンセプト」の組み合わせ。シンプルな表現をすれば、「誰に」「何を」「どのように」売るのかを明確にする事。
 
■ターゲットを絞る
ターゲットを絞る事は、極端に説明すると顧客を選ぶという事になる。選定の仕方も、過去の経験則に引きずられる事なく、自らの製品(商品・サービス)に合った形で、本質的に顧客に価値提供できる先で考える。これがターゲットを絞るという考え方である。
 
会社の活動は付加価値を社会に提供する事であり、結果その付加価値は、売上ではなく利益に貢献する。そうであれば、その価値を「最も高く」買ってくれる先に提供していくべきであり、また、そこに合わせて更に価値を高めていかなければならない。マーケッテイング力=ターゲットを絞る事は、顧客を選ぶ事。顧客を選ぶという事は、その選んだ顧客に選ばれる存在になる事を意味する。
 
■自分達の価値を評価してくれるのは誰か
その選ぶ基準は、自社の商品(製品・サービス)の付加価値を 理解し評価してくれる先である。ターゲットを絞る行為は、本質的な顧客との対話の第一歩である。  自分達の価値を評価してくれているのは、本質的に誰なのか、そして、 それはどこに居るのか。これを深く考える時である。
例えば、70歳以上の高齢化顧客でなく、元気な高齢化顧客、老夫婦で生活する高齢化顧客、介護は必要ないが足が弱っている高齢化顧客等とマーケットを細分化し、絞っていく事が必要。絞ったマーケットカテゴリーが欲しがる商品・サービスをどのように開発する。絞ったマーケットカテゴリーがどこにいるかを見つけだす。そしてその価値をどのように伝えていくのかを考える。
 
■コンセプトが求められるワケ
消費者は自身にとって価値あるものしか買わないし、その価値観は多様化。価値観の多様化とは、昔のように、他人に比べて良いものを持ちたいとする心理はない。以前であれば、性能があがれば、かなりの割合で購入に至る因子になれたが、今は消費者自身が価値を感じられなければ、性能がどれだけ良くとも無価値である。
 
売り手の都合での物づくりは、職人の領域まで高められなければ、ほとんどにおいて評価されない。だからこそ、コンセプトが重要。消費者が求めているものは、ストーリーである。商品の担い手(企業や職人)が持つ歴史や、商品が目指すもの、商品の想いなどに共感して、それを共有するために所有、あるいは購買する。
 
そういった価値感を共有するという事自体が、消費者自身の価値となり得る時代となっている。ターゲットを絞り、そこに合わせたコンセプトを打ち立てる。ストーリーの重要性が増したからこそ、最初にぶれない軸、すなわち、コンセプトを最初に打ち立てる必要が出てきたという事である。