カテゴリー: 21世紀に生き残る経営の視点
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考える社員の増加が会社の未来を決める
仕事の基本は自分で考え、判断し、行動する事・・・・
■考える社員の増加が求められている
社会の構造が変われば、経済情勢・顧客動向・業種特性に変化が生まれ、生きていく為に会社は変わらざるを得ません。それと共に経営者にも変化が求められます。しかし会社が変わる事は、働いている幹部・社員も変化しなければなりません。これが出来ないと環境変化に追いつけない社員が増加します。 現在は小手先の改善で乗り越えられるレベルではなく、構造を変える戦略の時代です。社会の構造変化が考える社員の増加を求めています。
■考える行動習慣を身につけよう
ルーチンワークの仕事だけでは、必要な生産性を確保する事が難しいので、従来と異なる働き方が求められています。その働き方とは、考えて価値を創造する仕事であり、俗にいう戦略や業務革新の事を意味します。
問題意識という言葉があります。物事を『何故、こうなるのか?』の視点で捉える事によって、物事の本質を考える行為です。 問題意識は、目的意識、役割意識、そして当事者としての自覚意識があると強くなります。チームの目指すものは何かという目的意識があるから、自分は何をすべきかの役割意識が生まれます。そして対処すべき問題に気づき、自分の事として考えます。これを意識して働く事で考える行動を習慣化できるといいます。よく考えなさいといわれます。しかし、日常から考える行為を習慣化していないと現実には時間がかかり、ムダに終わる事が多くなります。
■自分で判断するから成長できる
判断するとは、『自分は今何をしなくてはならないか?そしてその優先順位は何か?』を自分の頭で考える事です。仕事の基本は自分で考え、判断し、行動する事です。勿論、考えられない事や判断がつかない事もあるでしょう。しかし、自らが考えずに上司に教えてもらうだけならば、そのメンバーの存在感はチームのどこにあるのでしょうか?自分で考えずに上司に教えてもらうケースと自分でしっかり考えたが判断がつかないケースでは、根本的に未来への成長ステップが違います。社会人教育の原点は、価値判断基準を教える事です。価値判断基準を理解させる為にも、自分で考えさせる事です。すぐに出来なくても、我慢強く自分で考えさせる事を粘り強くやらせる事が必要です。
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シュアドマネジメント(21世紀型のチーム運営スタイル)
チームはチーム全員で動かす時代・・・・
■共有型リーダーシップ
現在のチーム運営において、カリスマリーダーシップの求心力でチームを動かす方法は時代に合っていません。組織の目標実現に向けて、メンバーの主体的協力で動くチームが求められています。その為には、リーダーだけではなく、メンバーが目的や目標が何であるかを理解し、それが自分の問題であると認識されている事。そのうえで、自分がやるという自覚が求められます。
■シュアドマネジメントとは
環境が変化し、それに適合させる事は、社会・業種・会社・個人も同じである。成熟社会で仕事が複雑化する中では、組織で動く全社員に現場の業務とチームを動かす仕事の2種類の仕事が求められる。この変化に対応していくスタイルがシェアード・マネジメントである。
チームを動かす為に多様なリーダーシップが求められる中で、1人のリーダーだけでは対応しきれないケースが増えている。一部の人間が兼任で組織を動かすのではなく、必要な役割機能ごとにサブリーダーや中堅社員の方々にJOBリーダーの役割を担当してもらい、組織内の当たり前のレベルを変えて、全社員で組織を動かす事が求められている。その為に必要な役割機能を推進させる権限をサブリーダーや中堅社員に権限を与え、それぞれの担当機能分野でリーダーとしての役割を担う環境整備が必要。
共有化という21世紀の組織運営を代表するキーワードがあるが、「シェアード・マネジメント」は共有型リーダーシップである。組織は小さければ小さい程、そのなかで働く人は責任感・想像力が発揮される。一人一人が自分の存在価値を組織の中で見出せれば、働くやりがい度や喜び体感度は満たされやすくなる。メンバー全員でチームを動かすスタイルがシュアドマネジメントなのです。チームを動かす機能役割を全員で担う事だが、その2017年から本格的に、このスタイルにチャレンジしている企業が数社あるが、
私の経験則で観ると人的企業体力が120%以上向上しており、それに伴い業績も向上している。
■全社員参画がポイント
今のチーム運営の環境はリーダー一人ではなく、全社員参画でチームを動かす事がポイント。プレイングマネジャーの特徴は現場の仕事が一番できる人が担当しているケースが多い。しかもチームを動かすマネジメント業務もほとんど一人で実施しているケースが多い。
このようなチームはリーダーとメンバーの差が有りすぎて、リーダーへの依存度が高く、リーダーこけたら皆こける状態に陥りやすい。リーダー一人があくせくやってもしょうがない。全メンバーが自分の役割に対してあくせく努力するから、結果として目標が達成出来やすい。参画とは自ら考え、判断し、行動し、責任を取ることである。唯単に会社に居るだけの人在を育ててはいけない。自ら考え、判断し、行動し、責任を取る人財を創る為にも全社員参画型のチーム運営スタイルを構築しないといけない。
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サーフイットの時代(成熟社会は売るのでなく価値を伝える)
価値をわかる人を探し、その価値をフイットさせないと売れない時代・・・
■「誰に」「何を」「どのように」売るのか
中小企業の戦略を構築する最大のポイントに開発とマーケテイングが位置している。
勿論、大企業のように専任体制はつくれない。しかし、この機能がないと既存の商品を既存顧客へ提供するのみとなり、売上高・利益率は確実に減少していき、会社の未来を削っていく。そもそも、中小企業にマーケテイングは馴染みがないので、その機能役割 について、理解が不足している点がある。マーケティングは、過去のように広告宣伝や市場調査のみに活用されるものではない。 単純明快な事は、「誰に」「何を」「どのように」売るのかを明確にする事がマーケテイングである。
■価値を伝えるポイント
マーケテイングをマーケテイングだけで捉えるから、理解しにくい。「誰に」「何を」「どのように」売るのかを絞るとターゲットを決め、提供する商品のコンセプトを決める事に集約され、それを実行レベルで考えると見込み先探し、コンセプトの価値の伝え方etcが必要になる。素晴らしい技術を持っている製造メーカーは沢山ある。しかし、持っている技術の価値の伝え方に、技術開発ほどの知恵・労力を使っていない。顧客は自社の商品の30%ぐらいしか知らないのが現実。説明を聞いて、お宅はこんな事もやっているの・・・という事はよくある。
全ての業種に共通する事はものをつくる・サービスを提供する機能を持つである。 ものをつくるとはmakingであり、この意味には商品づくりと市場づくりがある。 サービスを提供するとは求めている人に存在を伝え、使い方を教え、利用方法をその顧客にFittingさせる事である。 成熟社会は売る時代ではなく、価値を伝える時代である
価値を伝える事の基本ポイントは
◎自社商品の価値とは何か
◎その価値を認めてくれる人は誰なのか
◎その認めてくれる人はどこにいるのか
◎その人にとって、自社はどのような存在でありたいのか
◎その人にはどのような手段をとれば、価値が伝わるのか
◎その人が得られる便益はなにか
◎その人がその価値あるサービスを利用する場面の想定
の7点である。
■サーフイットへの対応
安ければ何でもよい市場からは撤退せよ。パナソニックの津賀社長が社内に宣言した言葉。
ある分野やある地域などの様々な切り口で、夫々の顧客に密着して、そこでトップシュアを目指すとしている。誰に何を売るのか、焦点を絞って事業構造を組み替える必要性がある。活力を取り戻すには、賢い経営に変わるしかない。
つまり、規模の拡大から中味の勝負への転換である。
〇作れば売れた時代はニーズへの対応
〇価値を伝えないと売れない時代はウオンツへの対応
そして今はサーフイットへの対応(search+fit)が求められる。
価値をわかる人を探し、その価値をフイットさせないと売れない時代になっている。
サーフイットへの対応を熟考する時代である。
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コンセプトマーケテイング
自社の価値を「最も高く」買ってくれる先に提供していくべきであり・・・
■マーケティングとは何か
マーケティングは事業において、商品の企画から販売までを含み、更に価格戦略なども含めるとコストや収益性の部分まで関係するため、ほぼ事業の全てをカバーする。マーケティングには、それらを実現するための本質的な考え方がある。
それは、「ターゲット」と「商品(製品・サービス)コンセプト」の組み合わせ。シンプルな表現をすれば、「誰に」「何を」「どのように」売るのかを明確にする事。
■ターゲットを絞る
ターゲットを絞る事は、極端に説明すると顧客を選ぶという事になる。選定の仕方も、過去の経験則に引きずられる事なく、自らの製品(商品・サービス)に合った形で、本質的に顧客に価値提供できる先で考える。これがターゲットを絞るという考え方である。
会社の活動は付加価値を社会に提供する事であり、結果その付加価値は、売上ではなく利益に貢献する。そうであれば、その価値を「最も高く」買ってくれる先に提供していくべきであり、また、そこに合わせて更に価値を高めていかなければならない。マーケッテイング力=ターゲットを絞る事は、顧客を選ぶ事。顧客を選ぶという事は、その選んだ顧客に選ばれる存在になる事を意味する。
■自分達の価値を評価してくれるのは誰か
その選ぶ基準は、自社の商品(製品・サービス)の付加価値を 理解し評価してくれる先である。ターゲットを絞る行為は、本質的な顧客との対話の第一歩である。 自分達の価値を評価してくれているのは、本質的に誰なのか、そして、 それはどこに居るのか。これを深く考える時である。
例えば、70歳以上の高齢化顧客でなく、元気な高齢化顧客、老夫婦で生活する高齢化顧客、介護は必要ないが足が弱っている高齢化顧客等とマーケットを細分化し、絞っていく事が必要。絞ったマーケットカテゴリーが欲しがる商品・サービスをどのように開発する。絞ったマーケットカテゴリーがどこにいるかを見つけだす。そしてその価値をどのように伝えていくのかを考える。
■コンセプトが求められるワケ
消費者は自身にとって価値あるものしか買わないし、その価値観は多様化。価値観の多様化とは、昔のように、他人に比べて良いものを持ちたいとする心理はない。以前であれば、性能があがれば、かなりの割合で購入に至る因子になれたが、今は消費者自身が価値を感じられなければ、性能がどれだけ良くとも無価値である。
売り手の都合での物づくりは、職人の領域まで高められなければ、ほとんどにおいて評価されない。だからこそ、コンセプトが重要。消費者が求めているものは、ストーリーである。商品の担い手(企業や職人)が持つ歴史や、商品が目指すもの、商品の想いなどに共感して、それを共有するために所有、あるいは購買する。
そういった価値感を共有するという事自体が、消費者自身の価値となり得る時代となっている。ターゲットを絞り、そこに合わせたコンセプトを打ち立てる。ストーリーの重要性が増したからこそ、最初にぶれない軸、すなわち、コンセプトを最初に打ち立てる必要が出てきたという事である。
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減少・増益経営の流れ
人が足りない時代の経営スタイルを構築する・・・・
■減少を前提とした経営
これからの中小企業は減少を前提として対応していく経営となります。
持続可能な継栄の為に減少を前提とした経営スタイルの変化です。減少とは経営要素・機能に関わるもので、その内容と影響は以下に示しています。
社内で働く人(オペレーションが回らない)、顧客数(売上高が減少していく)、マーケット需要サイズ (競争が激しくなる)、商品寿命(商品開発・マーケテイング機能強化が必然)、同業者数(業界での存在価値が問われる)、売上高 (経費を吸収して利益確保が難しくなる)、原材料仕入(製品が加工、製造できなくなる) 、定番商品の種類・数量(収益構造の崩壊が発生してくる) etc。
■人が足りない時代の経営スタイル
経営要素・機能に関わるものは減少しますが、営業利益は増加させないと継続して栄える(継栄)事はできません。その為には、人が足りない時代の経営スタイルを構築する事であり、時代の大変化に伴う専門化の必要性(人間にしかできない仕事に特化)が求められます。増益対策の例をご紹介します。
一人当たり生産性アップ、経費生産性のアップ、オペレーションの効率化(考えなくても仕事ができる数を増やす)、DX促進、学習能力のアップ(当り前のレベルを上げる)、独自性の商品、サービスで付加価値率を上げる、儲からない仕事の排除、経営機能の分解等になります
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残存者利益の瀬戸際合戦スタート
中小企業の生き残る方法は、独創的な事業基盤を・・・・
■マーケット縮小の意味
マーケットが縮小するとは、現在のマーケットサイズが総需要量100で業者数が10とします。このマーケットの総需要量が70に減少する事です。この時のポイントはマーケットサイズが70%に減少したから、業者数も70%の7になると考えがちだがそうはならない。このケースならば業者数は7ではなく、3~5になる。つまり、マーケットから退場させられる業者が増加するわけです。
■中小企業が生き抜く術
縮小マーケットにて生き残る条件は大手企業と中小企業では異なり、大手企業は資本力をベースにした圧倒的なオペレーション力が必要で業界TOP2が必然。だから大手企業の吸収合併やM&Aが活発化している。それでは中小企業の生き残る方法は、独創的な事業基盤をつくる(オリジナル・クオリテイ)、他社が出来ない事をやる高付加価値化へのチャレンジ、トップポジションを目指す《マーケットシュア世界一を目指す》の視点が必要となる。
現在は、生き残り=残存者としての利益に辿り着けるかの瀬戸際合戦がスタートしている状態。
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既存衰退病
売上高・利益率は確実に減少していき、会社の未来を削っていく・・
■既存のみは衰退を意味する
国内市場は確実に縮小しています。
日本のすべての会社が既存商品を既存のお客様に提供するだけでは、確実に売上高、粗利益率は減少しています。従って、自社の力にあったやり方での攻めの経営戦略が絶対条件となる。中小企業の戦略を構築する為に開発とマーケテイング機能が必要です。勿論、大企業のように専任体制はつくれない。しかし、この機能がないと既存の商品を既存顧客へ提供するのみとなり、売上高・利益率は確実に減少していき、会社の未来を削っていく。
■商品開発とマーケテイング機能は必然
そもそも、中小企業にマーケテイングは馴染みがないので、その機能役割について、理解が不足している点がある。マーケテイングは、単純明快に、「誰に」「何を」「どのように」売るのかを明確にする事。しかし、商品開発機能とマーケテイング機能の必要性は理解しても現実的には誰がやるの?
経営者、役員は同然だが、これだけではリソース不足。成熟社会に求められるマネジャーの仕事内容変化は、チームをまとめる以外に新たに、商品開発、技術開発そして販売エリア・チャネル開発等の戦略的な動きでチームに仕事、そして業績をもたらす仕事にチャレンジしていく事が求められる。
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21世紀に生きるパスポート
2025年まで、今のままで何も手を打たないと会社はどうなるか?・・・
■今のビジネススタイルであと何年飯が喰えるのか?
2025年まで、今のままで何も手を打たないと会社はどうなるか?
ある会社は【現存のままなら、ビジネスとして成立しない】と結論づけた。
この会社は売上昨年対比110%と伸びている企業。 ある特殊な製品を販売しており、その売上全体の70%が東北エリアでの売上。東北エリアは人口が10%減少し、 高齢化比率が高まる。しかも、この統計には労働人口問題の一つである首都圏への労働者移動は カウントされていない。 当然、この会社はこれを見越したうえで、新たなビジネスの展開はスタートしている。
■誰が危機感を持つのか
恐らく、大半の企業がこの会社のように【現存のままなら、ビジネスとして成立しない】と考えるだろう。 ポイントは、この問題意識を誰が考え・持つかである。この会社は【現存のままなら、ビジネスとして成立しない】と結論付けたのが中堅社員とリーダーである。
この中堅社員の皆さんは、慣れない外部環境変化・業界変化・主要顧客の界変化の資料を自分達で集め、分析し、結論付けた。 文字通り、21世紀に生きる社員が結論付けたことに意味がある。 経営者・役員が考えるのは当たり前。中堅社員が考える事で、この会社の当たり前のレベルが変わり、そして上がる。現存のままなら、ビジネスとして成立しないから生まれるのは危機感。危機感は人間を成長させてくれるエンジンになる。
この意識を持つ事が21世紀に生きるパスポートを手にした事になる。
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答えがない時代に働く21世紀
変化にチャレンジする会社・人とチャレンジできない会社・人がいるから・・・
■モデルのない国
明治維新はイギリス・ドイツを、戦後はアメリカをモデルにできた。しかし現在の日本は課題先進国家といわれ、モデルのない国・前例のない社会づくりに挑戦している。
日本は少子高齢化、エネルギー、環境、教育等の様々な課題を先進的に体験している。日本が抱えている先進的課題を解決していく考え方・技術は、今後世界でも求められていくもの。課題を先進的に体験しているということは、ニーズを先取りしているという事につながる。
「課題先進国」という言葉を積極的・消極的に捉えるかは人によって違うだろう。国、会社、チームに求められているのは、課題を解決できる人である。 課題とはものづくりからサービスまで全てに当てはまる。 課題解決の為には、必要な知識・技術、そしてそれをやり遂げようとする意志・想い、そして努力が必要である。
中小企業の社員は新聞を読まない人が多い。そうなると、現在の社会変化・経済環境変化・国際情勢・国内情勢には、疎くなる。疎くなるとは危機感を抱きにくくなる事である。 危機感と行動変化は比例する関係にある。
■構造の変化
構造を変える事が求められている。代表的な要因は人口減少、超高齢化、価値観・ライフスタイルの多様化、21世紀の新しいビジネスルール、働き方の多様化、労働力不足、東京一極集中、新技術や環境変化から始まる新ビジネス、成熟社会や複雑系社会の到来等である。代表的な影響は、人口減少と高齢化社会である。
この二つは同じように見られがちだが、本質的には異なる。人口が減らない高齢化社会ならば、緩やかな変化で済む。しかし、人口が減る中での高齢化社会は高齢化比率が加速度的に上昇していく。よって、直接消費の減少が影響を及ぼすようになる。今まで通りの会社運営をしたいけど、その市場の顧客が減少すれば、必然的に会社の構造の見直しが迫られる。
■課題先進国家は複雑系社会
複雑系社会の到来 = 物事が予測不可能に変化する社会
国内、世界の様々な要素が密接に絡みあい、ある事が起きる、どこかの国で何かが起きると連鎖的に自分の国・企業・自分自身にも影響を受ける社会。そんな中で、未来を予測していくことが非常に困難で、法則性が見つけづらい。複雑系社会以前は、「昨年の延長線上に今年がある」「昨日の延長線上に今日がある」と過去・今日・そしてその流れで未来が来ると考えられた。
複雑系社会では、昨年と今年はまったくの別世界で目の前に起こりうるシーンで最適な判断を下していかなければならない。何も考えずに今までと変わらない仕事をやりたがる習性が組織にはある。そうすると、複雑系社会では、どんどん硬直化していくようになり、マーケットとのギャップが広がっていく新しいステージは、社会が入るのであり、何もしないであなたの会社、あなたが入れるわけではない。
だからこそ、当たり前のレベルを上げる・変える事が必要になっているわけです。どの企業も人もこの事への理解は頭では出来ています。しかし、この変化にチャレンジする会社・人とチャレンジできない会社・人がいるから、そこに差が生まれるわけです。その差とは危機感の差であり、その危機感を生むのが自社・自分の未来を真剣に考えているかどうかになります。
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価値密着型経営が中小企業の生き残る術
既存顧客合わせすぎ現象は、確実に会社の体力・魅力そして将来を蝕んでいく・・・
■売上高ではなく利益重視への視点変化
過去は、安くてそこそこに良いものであれば、「他の人が持っていて、自分が持っていない」ことが不満で「所有こそ」が判断基準であった。買いたいと思うものには、自分の価値観の中でお金を惜しまないが、それ以外のものについては、必要最小限のみ購入するようになっている。つまり、均一的な物を多くの人に売ろうとすればするほど、結果的に、誰も買ってくれない逆現象が発生している。過去は所有の判断基準を基に大量生産で儲けていた。今は独自の価値判断基準に対し、知恵で稼ぐ時代になっている。
会社を判断する企業人の視点は、売上規模を軸に見ている事が今までは多かった。あの会社は大企業だから信頼できる、あの会社は売上が伸びているから良い等の売上キーワードに目が行きがちであった。しかし、商品・サービスを判断する消費者の視点は、数値に関連する価格だけでは判断しなくなってきている。価格は重要だが、それだけが決め手にはならない。
消費者にとって、本質的な価値を感じられないものには手は出さない。昨今の伸びている企業は、高品質で価格は手頃なものを供給している、価格が少々高くても、今までなかった良いものを提案している点に特徴がある。この特徴は売上規模とは関係ないテーマである。つまり、「会社を判断する企業人の視点」と、「商品・サービスを判断する消費者の視点」にズレが生じている。
この大変化で、過去のままのやり方「大量生産=売上至上主義」を堅持しても、下手な値引き合戦や無料サービスの拡充など、消耗戦に陥り、会社を維持・発展させる利益を削っていくことになる。どれだけ頑張っても、業績が上がらないのは、利益の稼ぎ方の変化に気付かないか、気付いても過去の経験をベースにするために対策が思い付かない根深い問題を企業に投げかけている。この問題は今後、企業の存在自体を破壊しかねないものになる。つまり、「売上」ではなく「利益」とそれを生み出す仕組みに注力することである。
■密着する内容が変化している
中小企業は別名『地域密着型企業』ともいわれます。これはある特定の限定された地域
内(市・県・地区)においての商売スタイルを意味するものであります。今後はこの地域密着型企業からの転換が求められるでしょう。地域密着型企業はある特定地域内で、ある一定のマーケット需要がある事を前提に成り立っております。
しかし、法人客を対象に考えた場合、総需要から見て、日本の場合は法人の数、業者の数が多かったが廃業・M&A等でその対象先は減少化傾向であり、且つ国内・海外からの同業他社の進出攻勢による強者の競争激化になっている。又、消費者を対象に考えた場合、高齢化社会・生活様式価値観の多様化・購買方法多様化等で大きなマーケット構造の変化が現実となっております。しかし、我々ミクロ経済における中小企業の生きる術の『密着型企業 スタイル』は過去も今日も将来も変わらないと確信致します。
それは人なし・ものなし・金なしのナイナイ尽くしの戦い方で生き残る最大突破の戦術
は『密着型』 であるからであります。では今後、何に『密着』 するかでありますが、それは『価値への密着』であり、『価値密着型経営』の推進であろうとご提案いたします。
■価値密着経営とは
価値密着型経営とは自分が、自社が生存していく為の生存価値、機能をどうやってつくるかであります。価値への密着とは、自社が生き抜く価値を明確に絞る事であり、その価値への密着が価値密着型経営の推進となります。
中小企業の成長軌道は、顧客に合わせて成長する事が多かったし、それが中小企業の生き残る道でもあった。しかしこの常道に変化がでている。市場の構造変化は企業にどのような価値に密着するのかを明確にする事を求めており、顧客に合わせすぎる密着では、売上高や利益率の確保できない。
つまり、既存顧客合わせすぎ現象は、確実に会社の体力・魅力そして将来を蝕んでいく。よく理解していただきたいのが、顧客というマーケットは存在しない事です。顧客をセグメント・カテゴリー化するから、そこにマーケットという視点が生まれる。『自社の真の飯の種は何なのか?』、『自社にとって真にお付き合いしたいお客様とは誰なのか?』、『そのお客様は一体わが社に何を要求しているのか』を深考し、具体的な展開を図る事が、自社の生存につながります。
戦略とは勝てる土俵を見つける事から始まります。自社の価値を認めてくれる顧客がいるマーケットを探し、選ぶ事であり、そして、そのマーケットから選ばれる存在
になる事です。ターゲットを絞る事は、すなわち、「顧客を選ぶ」という事であり、自社の価値を「最も高く」買ってくれる先に自社の商品・サービスを提供すべきで、そこに合わせて更に価値を高めていかなければならない。
マーケッテイングは、顧客を選ぶ事であり、その選んだ顧客に「選ばれる存在」になる事です。その選ぶ基準は、自社の商品(製品・サービス)の付加価値を 理解し評価してくれる先です。会社を継続繁栄させる為に『自分は、自分達はこれで戦う、この道を進む』という道標、軸足を持つ事であります。密着すべきものに対し、我社の価値としての『考え方・姿勢・商品・サービス・術』を明確に打出し、その主張に対し一体感を持った集団として邁進していく事が『価値密着型経営』となります。
どのようなお客様からご指名・ご用命を頂きたいのか?どんな仕事をしたいのか?という我社の価値を明確にし、それに応える商品・サービスを開発しなければならない。それが既存エリア・既存業種・既存顧客・既存商品・既存枠組等を超えて、新たな企業の構造を創造していく時代に入っております。
価値への密着とは例えば、下請け企業に徹するなら、絶対に外されない納期力であり、品質力を装備する事で ある。高齢者にターゲットを絞るならば、高齢者の中でどのような特徴を持った層をターゲ ットにするのか、その人達がどのような生活様式・価値観を持っているかを徹底的に 調べ対応していく事である。
既存エリア内だけでは収益構造が成立しない場合は勝てる武器で他エリアへの進出。 もしくは1社単独で難しい場合は連携・M&Aも視野に入れる。
高付加価値路線ならば、絶対値引きをしない・させない販売技術武装をすべきである。
低価格路線ならば、ゲリラ戦法に徹し、認知度を徹底的に上げることである。
スピード力で勝負するなら、コミュニケーションコンタクトNO1を目指す事である。 コミュニケーションコンタクトNO1とは先様で困り事があった時に最初に顔を浮かべてもらうように様々な接触を行う事である。価値に密着する方法は色々とあります。
経営者・後継者・役員・部門長層を中心として『価値密着型経営』の推進よる事業構造
づくり』に、各企業様が精励されることをお祈り致します。
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