我社の原点は何?と考えることである。

■創業の精神は常に正しい
 企業の創業期には、現在のようなお客様・関係先・設備・信用のれん、そして社員は存在しない。つまり、人・物・金・実績・信用なしの『ナイナイづくし』からのスタートするのが、古今東西、創業期の共通点である。

その中で、唯持ち得たのは『何とかお客様に喜ばれよう』『一途に一生懸命に頑張ろう』とする『頑張リズム』だけである。それが、熱意・誠意となって工夫しながら、あらゆる難局を乗り越えて、現在の姿に成長発展してきた。又、バトンを受けた企業は先代から語り継がれた家訓・商訓・教えを大切に受け継いでいく。

そうした創業の精神は時を経ても常に正しく、創業の精神を忘れ果てた頃から会社は方向を見失い、種々様々な経営問題が発生する。創業時の苦労・エピソードは、現在の社員は知らない事が多く、現在の会社の姿・内容を作った原点を知ることは非常に重要である。歩みを知る事は経営者の価値観・企業観・人生観を理解する事であり、企業人・職業人としての価値観の統一につながる。

■創業の精神の事例
 多くの会社で経営理念づくりのお手伝いをさせてもらいましたが、各社の創業の精神をまとめると以下のキーワードが多い。・職人気質 ・感謝 ・筋を通す ・誠意 ・挑戦 ・努力 ・頑固(妥協しない)・真心。 難しい環境だからこそ、改めて自社の創業の精神を考える事も大切です。

■原点を知らなければ社長に聞けば良い
我社の原点は何?と考えることである。それでも解らなければ社長に聞けばよい。皆さんは会社の創業からの歴史をどのぐらいご存知ですか?自分の会社の事を知らないのに、会社の主張はできませんよ。社長の人生観・企業観・人間観・死生観等を知ることは社長の生き様を知ることであり、我社の原点を知ることになり、正しい創業の精神を知ることになる。原点を語れる企業人は人間的な魅力がある。

■語り部
永続する組織には語り部の存在が在る。代表的な存在に『社史』がある。社史とはみずからの歴史であるが、
その目的は
・経営の決断事例、戦略と実施の過程、社内統治の指針、等を後に続く者に残したい
・社員に対し、どのような経緯を経て今日があるかの、脈々と流れる経営哲学を理解させる・浸透させる為の教育として活用する2点が代表的な目的である。

社史が発行される時期は企業が創業期から発展期を経て、成熟期に入るにつれ、緊張感が緩み、経営理念を再浸透させる必要が出てくる時期に発行させる事が多い。社史を通して、会社の重要な価値観を知る。これは身近な例えで言うと、おとぎ話である。日本人なら『足柄山の金太郎』は誰でも知っている。皆が世代間を越え、伝えているからである。同じ民族では大事な事を伝え、次の世代に受け継がれている。同士(考えを同じくする人達)の考え方の重要な要素がアイデンテイテイーである。

■リーダーの意思は伝わっているか
一番が有限実行、二番が不言実行、三番が不言不実行、一番悪いのが有言不実行である。これは中国での人物鑑定の見方である。仕事はルール・基準に基づく規則性が70%、知恵が30%であり、まずは70%の規則性を押える事である。その為には会社のアイデンテイテイーを伝え続け、習慣化させなければならない。

伸びる会社には語り部がいる。その語り部はこれをやれ、あれをやれだけとは言わない。何故、これが必要か・あれが大事なのかを理解させる。その何故を伝えることが出来るから人が動くのである。アイデンテイテイーとは何故を解決してくれる会社の玉手箱である。会社の語り部とは役員・幹部のあなたです!