カテゴリー: 継栄の軸足 不易流行の経営原理・原則
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資金の流れが止まると、企業は潰れる
企業が生き延びる為には利益は当然必要ですが、資金繰りも
一定期間中にどのくらいの入金があって、どのくらいの出金があるかを見るのが資金繰りです。
損益計算書は企業が当期中にどれだけの売上を得て、どれだけ儲けたかを見るものですが、企業は黒字でも倒産します。これは一見不可解な現象に思えるが事実である。
なぜこのようなことが起こるかというと、一企業における「資金」とは人体における「血液」と同じ意味をもち、その流れが絶たれればどんなに健康体であっても生命は維持できない。資金繰りはボクシングです。損益計算書は野球のペナントレースみたいなもので、月によっては赤字でも、決算期までに黒字に追い込めばよい。
しかし資金繰りは、ボクシングの試合のごとく、明日1億円の金が入金する事が分かっていても、今日、必要な資金を用意できずに不渡りを出せば、それで企業はノックダウン。つまり企業が生き延びる為には利益は当然必要ですが、資金繰りも非常に重要です。
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創業精神を伝える語り部は役員幹部の役割
我社の原点は何?と考えることである。
■創業の精神は常に正しい
企業の創業期には、現在のようなお客様・関係先・設備・信用のれん、そして社員は存在しない。つまり、人・物・金・実績・信用なしの『ナイナイづくし』からのスタートするのが、古今東西、創業期の共通点である。
その中で、唯持ち得たのは『何とかお客様に喜ばれよう』『一途に一生懸命に頑張ろう』とする『頑張リズム』だけである。それが、熱意・誠意となって工夫しながら、あらゆる難局を乗り越えて、現在の姿に成長発展してきた。又、バトンを受けた企業は先代から語り継がれた家訓・商訓・教えを大切に受け継いでいく。
そうした創業の精神は時を経ても常に正しく、創業の精神を忘れ果てた頃から会社は方向を見失い、種々様々な経営問題が発生する。創業時の苦労・エピソードは、現在の社員は知らない事が多く、現在の会社の姿・内容を作った原点を知ることは非常に重要である。歩みを知る事は経営者の価値観・企業観・人生観を理解する事であり、企業人・職業人としての価値観の統一につながる。
■創業の精神の事例
多くの会社で経営理念づくりのお手伝いをさせてもらいましたが、各社の創業の精神をまとめると以下のキーワードが多い。・職人気質 ・感謝 ・筋を通す ・誠意 ・挑戦 ・努力 ・頑固(妥協しない)・真心。 難しい環境だからこそ、改めて自社の創業の精神を考える事も大切です。
■原点を知らなければ社長に聞けば良い
我社の原点は何?と考えることである。それでも解らなければ社長に聞けばよい。皆さんは会社の創業からの歴史をどのぐらいご存知ですか?自分の会社の事を知らないのに、会社の主張はできませんよ。社長の人生観・企業観・人間観・死生観等を知ることは社長の生き様を知ることであり、我社の原点を知ることになり、正しい創業の精神を知ることになる。原点を語れる企業人は人間的な魅力がある。
■語り部
永続する組織には語り部の存在が在る。代表的な存在に『社史』がある。社史とはみずからの歴史であるが、
その目的は
・経営の決断事例、戦略と実施の過程、社内統治の指針、等を後に続く者に残したい
・社員に対し、どのような経緯を経て今日があるかの、脈々と流れる経営哲学を理解させる・浸透させる為の教育として活用する2点が代表的な目的である。
社史が発行される時期は企業が創業期から発展期を経て、成熟期に入るにつれ、緊張感が緩み、経営理念を再浸透させる必要が出てくる時期に発行させる事が多い。社史を通して、会社の重要な価値観を知る。これは身近な例えで言うと、おとぎ話である。日本人なら『足柄山の金太郎』は誰でも知っている。皆が世代間を越え、伝えているからである。同じ民族では大事な事を伝え、次の世代に受け継がれている。同士(考えを同じくする人達)の考え方の重要な要素がアイデンテイテイーである。
■リーダーの意思は伝わっているか
一番が有限実行、二番が不言実行、三番が不言不実行、一番悪いのが有言不実行である。これは中国での人物鑑定の見方である。仕事はルール・基準に基づく規則性が70%、知恵が30%であり、まずは70%の規則性を押える事である。その為には会社のアイデンテイテイーを伝え続け、習慣化させなければならない。
伸びる会社には語り部がいる。その語り部はこれをやれ、あれをやれだけとは言わない。何故、これが必要か・あれが大事なのかを理解させる。その何故を伝えることが出来るから人が動くのである。アイデンテイテイーとは何故を解決してくれる会社の玉手箱である。会社の語り部とは役員・幹部のあなたです!
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社長と社員の触れ合い密度は会社の成長要因
社長が社員と一体一で触れ合う時間が長い会社は必ず成長する
30年の経営コンサルタント活動を通じて、会社経営に必要な絶対的法則がある事をいくつか発見しましたが、その内の一つに《社長が社員と一体一で触れ合う時間が長い会社は必ず成長する》がある。
社長が社員と一体一で触れ合うとは、個人面談であったり、営業・現場動向や社長からの教育の事である。人間の本質欲求に人から認められたいとする欲求がある。社長と触れ合う時間が長い事で、社員は自分を理解してもらいたいとする基本的欲求が満たされる。
これは、中小企業独特の感覚で、これが度を過ぎると社長に認められる 為に働くという変な価値観になってしまい、古参幹部を生む原因になる。先日、ある会社の経営計画発表会に参加させていただいた。16年前に経営計画発表会を始めた当時、社員数60名の会社が 現在は、250名までの規模に成長されている。 今回、16年前に初めて発表会を行った会場で、16年ぶりに原点に戻る形で発表会を行われた。16年前は主役が社長のみで王将と歩の経営。《社長こけたら皆こける状態》の会社運営でしたが、今回の発表会は、幾人も主役(幹部)がいて、堂々とした発表内容、そしてその成長した陣営。
社長を始め、幹部・社員の皆様の努力で大きく成長された。王将に金・銀・飛車・角が自前で揃ってきている様子が伺えて、頼もしく感じました。この会社の社長も社員との触れ合いを最も大切にされ、その時間をつくり、土日関係なく、社員に対し、勉強会を開いたりされている。教育の考え方は色々ありますし、あってよいと思います。
自論ですが、教育で絶対的にいえる事は、《教育は儲かるもの》である。つまり、教育は時間と費用の投資であり、そのリターンはやり方・本気度・能力等によって、成果の出方は変わりますが、必ず返ってくる。 薬で例えると、劇薬ではなく漢方薬が教育の本質。
飽きズ・空かズ・諦めズの3ズの精神で望む事がポイント。- 継栄の軸足 不易流行の経営原理・原則
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良い決算書を作ろう
決算月変更は戦略の一つである
■決算書の意味合い
法人格の企業なら決算書は毎年作成義務があり、所轄の税務署・国税に申告し、必要な税金を収めなければならない。
しかし、多くの会社が求める決算書の意味合いは金融機関等への提出書類としての位置づけが多いのではないだろうか?
金融機関では、融資申込の内容を具体的な数値をもって検証、確認しようとします。融資担当者や渉外担当者が聞き取った内容を、決算書等の資料と照らし合わせるのです。つまり、財務内容、業況、償還力などを3期分の決算書を使って分析し、信用リスクにより格付と債務者区分を決めます。
個別の融資案件において、この取組姿勢をベースとしながら別の視点で再度決算書をみていきます。運転資金の申込においては、赤字先かどうか、資金繰はどのくらい余力があるか、売上高は伸びてきているのか、売掛金や買掛金に大きな変化はないか、借入残高や現預金残高の推移などです。
ご自身の会社の一番良い決算状態の月が1年12ヶ月の中で何月になるかをご存知だろうか?
お客様との取引に最大アピールするのは自社の商品であるが、既存取引先の金融機関、新規の金融機関との取引において、自社を最大にアピールするツールは決算書である。
決算月の選定の多くは税理士さんの指定によって決められた会社が大半であり、自社の戦略的展開に応じて選定した会社は少ない。
■決算月選定の損益計算書上のポイント
1年間は12ヶ月、12回戦の戦いである。
戦い方には色々な方法はあるが、原則的には『前半ダム型経営が良い』。前半ダム型経営とは3月決算の場合、4~9月の上半期で年間の必要営業利益の60~70%を確保する事である。違う観点から見ると1年間12回戦を理想的には12勝0敗の戦いが良いが、現実は10勝2敗、9勝3敗等の戦いである。
仮に9勝3敗とすると9勝の内、5~6勝の月を上半期に来るように決算月を選定する事である。
何故、前半が良いかというのは下半期赤字が予想される月に対して余裕を持って商材探し等が望めるからであり、且つ来期の対策に余裕をもって望めるからである。後半追い込み型の会社は決算月を迎えるまでに力を使い果たし、翌期の対策が後手になる。
■決算月選定の貸借対照表上のポイント
損益計算書は1年単位の数値であるが、貸借対照表はある時点での金の流れを表すものであり、決算月を選定する上においては損益計算書より考慮するウエイトは高い。
特に考えねばならないのが、流動資産合計と流動負債合計のバランスであり、流動資産合計>流動負債合計の状態が最大になる時が一番良い。
しかし、流動資産合計の中身も問われるので①仕入れ②在庫③売上④売掛金⑤現預金の流れで、最悪なのが②在庫が1年を通して最高額に到達する時、最高に良いのが⑤現預金が一番多い時に決算を組む事である。
貸借対照表は1年間12ヶ月の中で、ある時点での金の流れを表すかであるから、自社にとって最高状態時の金の流れを表すべきである。
■決算月変更は戦略の一つである
ある洋菓子メーカは3月決算から8月に決算月変更しました。
この会社の繁忙期は9月中旬から12月、3月から5月でありますが、上半期・・9・10・11・12・1・2月の内、赤字になる月は2月のみ、下半期・・3・4・5・6・7・8月の内、赤字になる月は7.8月で、必要営業利益の獲得比率は上半期70%・下半期30%である。
8月時点での在庫は年間最少金額ですみ、5・6月の売上高が8月に現預金として入ってくる状態なので、決算月を変更し、内容のよい決算が組めるようになりました。
各社夫々に損益上の特徴、金の流れの特徴があると思いますが、自社にとって一番良い成績を表す月を検討し、必要性があればその月を決算月にする事をお勧めします。
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数字に弱い会社は業績を伸ばせない
数字に弱いとは、全ての物事に対し見方が甘く、具体性がない事
数字に弱いとは、全ての物事に対し見方が甘く、具体性がない事を意味する。
幹部は少なくとも「必要な数字は覚える」・「計算ができる」・「数字を読む」、そして 「数字を利用」する能力がなくてはならない。
・数字を知らない
・数字が読めない
・利用できない
・計算ができないという事では、目標管理や指示・命令に具体性が欠ける。
また、物事の判断に際し、具体的数値をもって対処出来ない幹部は致命傷である。 数字は最も具体的な日本語である。数字を敬遠している様では、いつまでも行動・管理に具体性が生まれてこない。 そのやり方は、会社として自己統制できる標準値を設定し、それを基準とする事である。 その一例が、目標管理の「3つの鏡」である。
●望遠鏡…3ケ月先の数字を達成するための具体策の立案
●双眼鏡…1ヶ月当月の最重点方針と突破口作戦の樹立
●顕微鏡…今日1日は、スケジュール・段取を明確にする
標準値ややるべき事を設定する事により、目標も立て易くなる。また、目標未達時も、原因分析の糸口を見つけ易くなる。数値の羅針盤がないという事は、レーダーのない船、飛行機が運航しているのと同様である。危険の予知、対策が不可能になる。
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企業の価値判断・行動判断基準を伝える
経営者の価値判断基準を多くの社員が理解すること
■会社が成長するほど報告・連絡・相談は欠かせない
会社運営においては、経営者と役員・幹部陣が価値判断・行動判断基準をすり合わせることが大切である。いくらトップが号令をかけても、役員・幹部陣が協力者となり実行推進役とならなければ、「笛吹けど踊らず」の状態となる。このような状態では、社員は迷い、組織の統一態としての力が発揮できない。
会社が成長し、規模が大きくなってくると、社長とともに寝食を忘れずに働いてきた幹部は経営者との距離を遠く感じることがあり、トップに対する報告・連絡・相談を行わないケースが多くなる。
しかし本当は逆なのだ。規模が拡大すれば社長は現場の状況が見えなくなり、孤独感が増す。だから、幹部陣は以前よりさらにこまめに報告をしなければならない。逆説的な言い方をすれば、報告をする人間ほど社長の信頼を勝ち取ることになるのだ。
■すり合わせるべき10の価値判断基準
では、そのトップと幹部陣がすり合わせるべき価値判断の基準とは何か?
・経営理念と自社の存在価値
・全社ビジョンの理解および納得
・経営計画・経営目標
・人づくりの基本方針
・ 商品づくりの基本方針
・お客様との関係づくりの基本方針
・ 社内の諸システムに関する基本方針
・ 判断基準となる基本的な考え方
・人事・人材評価の基本的な考え方
・ 役員・幹部に対する期待(値)
トップと幹部は以上、10項目の価値観・判断基準をリーダーの意思として社員に伝えねばならない。親子の関係においても、親が大人としての価値判断基準・行動の仕方・振る舞い方などを教えることによって子は自立していく。それと同じことである。
もちろん、人間の場合は生まれてから一緒に親と生活をともにするので、親の価値観で躾けられるし、その価値観は嫌と言うほど身に染み付いている。しかし、中小企業では経営者の価値判断基準を社員に移植させる工夫が足りない。
例えば経営数値の話をしても、社員は計数の意味がわからないために活用できない。多くの幹部も何をどのように判断してよいのかわからないから、結局経営者にお伺いをたてるようになる。
会社の最高意思決定者は経営者である。その経営者の価値判断基準を多くの社員が理解することにより、社員は自ら判断できるようになる。そして社長への依存度は低くなる。そのために重要な役割を果たすのが幹部なのである。
以上
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組織には方向性を示す事が必要
アテネの空に日の丸を・・・・
■水泳日本代表に学ぶ成功事例
現在の水泳日本代表は、世界でも有数の水泳強豪国になっている。その転機となったのが、アテネオリンピックの日本選手の大活躍である。アテネオリンピックで八つのメダルを獲得した競泳日本チームは、その大躍進の原因が「指導者層の若返りと指導方法の変化にあり」と世界中から絶賛された。
以前、この日本チームのヘッドコーチとして、水泳ニッポン復活の戦略を立案・実践し、成果を残された上野広治先生を講演会講師としてお招きし、その大躍進のポイントをお話しいただいたことがある。競泳日本チームはアトランタオリンピックでの惨敗を受け、指導者層・指導方法を大幅に改革し、アテネ大会に備えた。その指導者層のヘッドコーチに就任されたのが、当時現役の高校教師だった上野広治先生である。
上野先生は、以下の5点を改革の柱にした。
〇チーム力の強化
〇所属コーチとの連携
〇国際舞台に強くなるメンタルづくり
〇少数精鋭指導
〇人格的な成長を促す教育
■チーム力を鍛える
また、基本的なコンセプトとして「速いだけでは勝てない。人として強い者が勝利をつかむ」をスローガンに掲げ、人間的な強さを持った選手の育成と、選手が存分に力を発揮できる強いチームづくりを目標に改革を進めた。さらに勝てる選手に必要な要素は「勝利への執念」「不調でも戦える力」「プレッシャーを克服する精神力」だとし、これらの能力の養成をヘッドコーチとしての重要任務と課して努力をされたそうである。
組織として明確な目標を持ち、その方向性を明示し、全員が道に迷わないように具体策を立てられる組織は強い。当時の競泳日本チームのキャプテンは、男子バタフライ競技の山本選手だったが、テレビのインタビューに答えるときには、チームのスローガンをいつも引き合いに出し、チーム力の素晴らしさを訴えていた。
■メンバー全員に目標を理解させ、意識を共有
この日本競泳チームのエピソードは、中小企業にとっても学ぶべき点の多い成功事例である。中小企業では役員・部門長が「ヘッドコーチ」である。ではヘッドコーチとして一般社員に対し、目標達成をあきらめないように日々モチベーションコントロールをしているだろうか?
いや、その前にメンバー全員に目標を理解させ、意識を共有させているだろうか?超一流の才能を持った「あるある尽くし」の競泳日本チームでも基本的な努力をしているのだから「ないない尽くし」の中小企業が基本的な努力をしなかったら、その結果は見ずともわかる。
会社の節目に行うべきことに経営方針の樹立があるが、日本競泳チームも、アテネオリンピックの大会スローガンとして「アテネの空に日の丸を」を掲げ、大会に臨んだそうだ。このように方針を明確に打ち出すことは大切だ。
■方針は繰り返し訴え続ける
ただし、方針は植物を育てるように丁寧に水をやらねば枯れてしまう。訴え続けるから、初めて方針が方針として成り立ち、組織に活動の芯ができるのである。だからこそ幹部は、社員に対して方針を繰り返し説き続けなければならない。そして方向性の灯りを灯していかなければならない。
方向性灯す時間の尺度であるが、経営者は3~5年先である。つまり長期・中期計画を常に見つめながら、今年1年の動きをコントロールする。
部門長(役員含)は1~3年先である。中期の展開、今年の計画、目標を常に意識しながら毎月の動きをチェック、コントロールする。
中堅幹部は3~6カ月である。3~6カ月先の商材の仕込み・仕掛け、毎月の目標の達成度合について毎週・毎日の動きをチェックする。
ちなみに、一般社員の場合は当日~1週間先である。1週間の流れをつかみ、今日1日どれだけやるのか、1時間ごとの仕事の進行について考えて、その計画の通りに行う。
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会社・商品の事を良く知らなければ戦う集団の一員にはなれない
社長が想像している以上に社員は自社の事を知らない・・・
■会社はヒトゴト
誰も自分の事はよく知っている。生年月日・血液型・星座・名前の由来等を社員に質問して答えられない社員は居ない。しかし会社の創業年月日・社員数・年商・歴史・メインバンク・商品のセーリングポイント等を尋ねても、十分に答えられる社員は少ない。
『隣の芝生は青く見える』ではないが、社長が想像している以上に社員は自社の事を知らない。
本当かと思われるなら、自社の会社案内・ホームページの中から、一度テストを作成し、実施してみると良くその実態がわかる。唖然とする事が多いのが実態である。
冷静に考えたら、自社の概要・自社の商品を知らずして戦いを挑もうとしているのだから、ある意味中小企業はたくましい。
■戦闘能力の高い会社は足元にある事をキチンと出来る
名刺1枚で30分以上話ができなければ、戦闘能力はつかないと私はよく説明する。名刺には種々様々な情報が記載されている。会社名・役職・氏名・住所・営業所・取扱い商品・ロゴマーク等である。お客様・関係先に自社の事、商品の事を説明できなければ、戦えない。
現在の環境下では、営業担当だけが説明できても業績向上にはつながりにくい。生産部隊・管理部隊もキチンと説明できる会社はお客様への攻撃量を直接的・間接的に増加させる事ができるから、業績も向上しやすい。
■烏合の衆は戦う集団になれない
ただ単に、『作業をこなす』パート・アルバイトならよい。しかし『仕事をする』社員なら、話にならない。自社の『売りは何!』、この商品の『特徴・他社との優位性は何!』、この商品は『どのような使われ方をし、どのようにお役に立っているか!』を知らない事は、作業を仕事のように見せかれて行っているのである。
何も問題意識を持たずに時間を費やすから、成長しない。この様な集団を烏合の衆という。つまり、戦う集団の一員としては認められないのである。
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セオリー=会社の戦い方の基本型を創る
永らく継続して栄えているお店・会社には共通点が・・・
■自社固有の戦い方
永らく継続して栄えているお店・会社には共通点がある。
それは経営者の名前より、お店・会社の名前が売れている事である。勿論、創業当初は創業者の強烈な個性で切り開き、ベースが創られる。そのベースが代々受け継がれていく中でそのお店・会社の基本の型が作られ、固められ、磨かれ、そして『自社固有の戦い方』が出来上がる。
■戦い方の基本型を創る事
では、歴史の浅い会社つまり今現在、創業者が経営をやっている会社、2代目の会社の場合は何が必要なのか?
まず、会社の戦い方の基本型を創る事である。この基本型とは会社が継続して栄える為のセオリー=原理・原則である。これをキチンと①知り、②解り、③出来るレベルに持ってくる事である。
セオリーとは野球で例えると9回裏、スコア2対1で負けている。0アウト、ランナー1塁ならバッターにバントをさせ、ランナーを2塁に進塁させる事がセオリーである。勝つチームはこれが確実に出来るから勝てる。
■セオリー=原理・原則
例えば、売上高、営業利益も前年から減少すると減収・減益状態になる。この際の対処方法は以下の流れ。
〇減収減益状態にある会社は資金中心の止血・輸血対策でその状態から脱出させる
〇そうすると減収増益状態になる。
しかしこの経営状態はボクサーの減量生活を365日続けるようなもので長続きはしない。
〇そのなると、どうしても食べ物が欲しくなり、売上拡大戦略の展開となる。
〇この次は増収減益状態になり、そして最終的に増収増益に転化していく。
このプロセスは経営改善のセオリーの軌道である。
医学の病理学は多数の症例に基づき、治療のセオリーが構築されている。その上に新しい発見、技術が展開される。それと同じように会社にも病気があり、それを治す基本的な手の打ち方はある。
それが会社の戦い方の基本型であり、継栄の軸足である。
軸足を固める事で力を強く発揮できる事はスポーツの世界と同じである。
是非とも、会社が継続して栄える為のセオリー=原理・原則をキチンと知り、解り、出来るように挑戦していただきたい。
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会社のベースをつくろう
戦いにおいて、これぐらいはやってくれるだろうと読めるものを持つと・・・
■戦いの原則
安定性があるから戦いが作れる。
経営の状態を表す代表的な指標には
〇安定性・・経営の安定度・危険度を表す
〇収益性・・利益を確保する為の売上・経費の構造を表す
〇生産性・・社員が稼ぐ売上高・粗利益高の量・質の高低を表す
〇回転性・・利益源泉の一つである物・資産の回転性、活用度合いを表す
〇成長性・・過去と現在・将来における対比で規模的数値の成長度合いを表す
があります。
すべての経営指標はバランスの上に成り立っており、例えば、設備投資をすると一時期収益性は落ちるが、成長性は高まる。つまり、経営施策によりその時点でポイントになる経営指標はあるが、この中で何が最重要かと問われると『安定性』だと確信する。
この安定性とは野球に例えると先発ローテションピッチャーであり、先発ピッチャーが最低6回まで投げないと、試合は作れず、負けてしまう。戦いにおいて、『これぐらいはやってくれるだろう・・』と読めるものを持つと戦いの戦術・戦闘策は出来る。その読めるもの=ベースである。
■ベースの種類
会社の中におけるベースとはどんな種類があるか?
〇経営理念・・組織を統一させるベース
〇報・連・相の励行が出来る社員・・人財のベース
〇基本動作・・業務遂行(規則性の仕事が80%)のベース
〇定番商品・・商品・売上・粗利・資金構成のベース
〇主力(Aランク顧客)・・顧客・売上・粗利構成のベース
〇繁忙時期、月間・・12回戦の星取り勘定のベース(何勝何敗か)
会社の商品構成をみると、定番商品を持つ会社は強い。売上高10億に対し、定番商品で7億を占める場合はベース率70%となり、残り30%を埋める商材をつくればよい。
しかし、ベース率が50%の会社は残り50%も埋める商材をつくらねばならず、克服する為には商材をつくる『時間の先取り』をしなければ勝てない。
時間の先取りとは1ヶ月先・2ヶ月先・3ヶ月先と自社にとって商材をつくりあげる期間と同等になり、仮に3ヶ月先ならば、1ヶ月間に90日間の仕事しなければならない。つまりベース率が低くなるほど、時間の先取りという経営資源の中で難しい要素との戦いを強いられる事を意味する。
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