組織を動かして、業績を上げる仕事のやり方にシフトする事が求められています・・・
■従業員30人~100人の企業でよく発生する問題点
会社の成長に伴う歪は、仕事が増加し、それに対応する為に人を急激に入れるから生れます。社員数が50名前後になり、複数事業会社・複数事業部・複数拠点スタイルで運営していく会社には共通の問題が発生しやすくなる。それは、多面的展開経営でやり放なし体質を持っており、ややもすると膨張成長気味になっている事です。
核になる人財候補はいるが、人を動かす方策のパターンがなく、バラバラ状態となりやすい。組織運営における部門運営の基本は、各部門長の経験や性格に左右されてはいけない。各部門長の経験や性格に左右されると、同じ社名を名乗っているが、別法人の色合いが強くなる。年商30億を突破する為には、この標準化や様々な融合化がポイントになります。
つまり組織運営に本格的ギアチェンジをしなければ、規模成長の弊害で会社が上手く回らなくなる。経営者の取組み方も社長長が歩くルールブックとでは、社員の成長を阻み、社内に不満が高まり、本来守らなければならないルールが社員にわからなくなる。つまり、組織自体にリスクが高まるのである。
■わしが居るところが本社
ある販売会社のA社長もそうである。
この会社は拠点展開をしている社員50名の販売会社で、営業所が6ヶ所あり、売上は伸びていた。A社長は拠点展開を成長要因として押えていただけに、営業所所長のマニュアルは存在していた。このA社長の行動パターンは定期的に営業所を訪問する事である。そこでの口癖は『わしが居るところが本社』であった。
ここまで露骨になると、その場所で決まった事が全社の標準にいつの間にかなってしまう。こうなると役員も幹部の存在もなくなる。それでも勢いがあったこの会社は、何とかごまかしながら成長はした。この会社にはゴルフをする人が誰も居ない。なぜなら、このA社長自身が、『仕事での接待ゴルフは仕事が出来ない連中のする事だ』と豪語し、ある意味軽蔑していたからだ。しかし、ひょんな事から、このA社長はゴルフを始め、その魅力に取り付かれ、毎週ゴルフをやるようになった。そして社員から『社長、社内にゴルフクラブを作りましょう』と話が持ち上がった。又、A社長も社員に入るように勧めた。今までのゴルフに対する考え方を聞かされていた社員には『こいつら、一体何なんだ』と疑問に思うものも多数いた。ゴルフクラブは悪い事ではないが、成長が止まり苦戦し始めた会社の現況を本質的に捉えていた幹部は堰を切ったように退職していった。
■俺は社長だぞ!
社長の歩くルールブックが極端になると『俺の言うことを聞け』から『俺のやる事は何でも許される』となる。そうなると、致命的な公私混同をおかす事になる。誰も指摘は出きずに歯止めを掛けないからである。この社長も金・女の致命的な公私混同で失墜していった。社長のこうした考え方・態度、それを許す体質に嫌気をさし、幹部はこの会社の限界を感じたのである。
■規模を動かす人のレベルアップ
何故〇〇さんが10年かけて出来るようになったノウハウを共有化しないのか? 〇〇さんと自分は違うので、自分は自分なりのやり方でやる。これでは、組織で仕事行う会社にはなりません。人の成長スピードは、会社の成長スピードより確実に遅いから、それが歪となって会社内に問題を発生させます。
この歪が現場では、マネージメントが出来ない、人が動かない、一人当たりの生産性が減少等の問題として表面化します。会社全体を考えると、経営幹部が歩くルールブックから脱皮し、会社の仕組みづくり(ルールと基準の整備とシステム化)に取りかかる環境づくりが必要となる。
規模を動かす人のレベルアップとは、基盤や組織運営の形を推進させる能力のレベルアップの事です。年商30億前後の幹部の皆さんは、現場の仕事をする能力は高い。しかし、企業規模の拡大や仕事の範囲や内容が変化する事に伴い、組織を動かして、業績を上げる仕事のやり方にシフトする事が求められています。