社長の価値観を植え付けないとバラバラ集団の個人商店の集合体になる・・・

■社長コケたら皆こける企業から営業利益率20%に成長した事例E社《概要》
E社は、年商5億から8年間で年商13億・営業利益率20%・社員35名と成長された企業。生産財測定機器を受注加工販売企業。経営者は創業者で典型的な技術屋社長。
 
弊社にご依頼があり、事例E社の企業診断を行った事例です。
 
■診断とは
診断とは、いわば企業の「人間ドック」のようなものであり、マイスター・コンサルタンツが第三者的な立場から企業の現状を分析します。そして、現状の問題点の指摘からより良い方向へすすむための改善の具体策、集中して重点を攻略するための「改善の内容・スケジュールプラン」を提案させていただきます。
 
■現状のE社の状態(年商の壁突破の企業診断結果)
『社長絶対依存主義で社長こけたら皆こける状態』。古くから社長と共に頑張ってきた主な幹部クラスは社長との一体感が強く、風土としては良い状態である。しかし急増する社員の動かし方を会社内のルール・基準、仕組みの整備がなく対応していたので、以下の問題点が噴出していた。
*年商5億時に実施したアンケート結果( )数値は全国平均
《苦しんでいた現象①》        
〇経営方針が明確とする社員27%(34%)、わからないとする社員73%(66%)と多い。
方針・計画を明確にしたいと考えても、その方法がわからなかったり、明確にしても習慣づけで躓いたりして、上手くいかないから途中で止めてしまう事も多い。この会社もこの繰り返しであった。
 
《苦しんでいた現象②》    
〇社内の規律が守られていないとする社員が85%(74%)と多い
〇組織や命令系統は乱れているとする社員が64%(26%)と多い
〇上司の指示が不適切であるとする社員が76%(60%)と多い
〇計画の変更が多いとする社員が65%(35%)と多い
幹部クラスのマネージメントが混乱している様子が伺える。この規模は部門毎に「長」は立てられるが、現場の実務を指揮する監督者が不足する。この事例E社も60%の社員が不足としている。現場の実務を指揮する機能がないとどうしても現場は混乱する。
 
《苦しんでいた現象③》 
〇教育訓練はしないとする社員が90%(24%)と多い
〇退職者が多いとする社員が65%(19%)と多い
〇監督者が不足しているとする社員が60%(16%)と多い
現場が混乱し、退職者が多くなる。足りないから、募集するが、同じ事の繰り返しで退職者が増発する。つまり、業務手順・レベル基準が無い為に仕事の標準がない。仕事の標準がないと新人を教える事が難しくなる。そして忙しいと自分で覚えろと突き放す為に悪循環になる。この会社もやはり退職者が多かった。
 
■E社の根源の問題点
専門性を求められるニッチ分野に活路を見出し、現在まで社長の先見性、戦略性とそれを具現化する実行力で成長発展されてきた。しかしE社は、組織を動かす要になる人材層が脆弱であり、トップが動かないと会社が機能しない点が成長の阻害要因になっていた。
■E社の課題改善の方向
『組織運営体制移行の為のE社人財づくりシステムづくり』
組織運営とは社長自身が歩くルールブックではなく、判断や行動をわかいやすく成文化されたルール・基準・仕組みを作る事。そしてそのルール・基準・仕組みを通して社長は幹部の力を通して、幹部は社員の力を通して業績を上げる事。その為に事例A社で取組んだ内容の一部をご紹介します。
《経営基盤作りと徹底》
〇経営理念構築よる価値観の浸透
〇全社員参画による経営計画書の作成・活用
〇全社員による業績検討会議の実施
〇決め事を守らせるシステムの導入
〇基本動作を習慣化するセルフマネージメントの導入
 
《幹部の固有基本動作づくり》
〇幹部しての基本を理解させる幹部憲章の作成と活用
〇幹部の基本業務をパターン化したマネージメントマニュアル作成と活用。等の実施。
この事例E社の成長速度は特別に早くなく、リーマンショック後は大変な時期もありました。大きく成長した要因は、高品質・高単価政策の戦略展開を推進した点。そしてそれを推進していく複数名の経営幹部人財の成長が大きな要因となり、売上高13億・営業利益10%・社員35名の立派な小さくても強いダイヤモンド企業に成長されました。
 
■思いつきの経営からの脱皮
年商10億(社員30人)脱皮とは思いつきの経営から公開経営へと脱皮する事でもある。社員は寄集め集団で、物選び、モノづくりがよくて成長した企業が多い。
 
しかし企業風土・組織は未形成なので、社長の価値観を植え付けないとバラバラ集団の個人商店の集合体になる。
 
公開経営とは、先ず考え方の公開(理念・ビジョン・目標・計画・方針・価値観等)が必要。それを形にするのがルール・基準・仕組みとなります。価値判断基準を明確にし、人が動きやすい環境を創る事がポイントになります。