中小企業の労務政策は『数で測れる要素』で勝負したら、分が悪い・・・
人財を育てていくポイントは育つ力、育てる力と育む力の3点であり、その該当者は育つ力は本人の問題。育てる力は配属される上司、現場のメンバーの協力の問題。育む力は会社の環境、仕組みの問題である。育つ力と育てる力は『人財育成マニュアル』を創り、対応する。育む力は社内制度とシステムを創り対応していく。
■育つ(本人)力とは
この3点で1番大事なのは育つ力である。
『自分がこの会社で頑張っていきたい』、『この仕事を覚えて頑張っていきたい』と思わない限り、人は育つわけはない。つまり本人の問題である。中途入社組、新卒入社組でもその強弱はあれど、この会社で頑張っていこうと思い、入社する。しかしその気持ち・意欲がだんだん萎えてくるのは何故だろうか・・・・
面接時には『少々の事は目をつぶり、何とかこの会社で』と納得しているわけであるが、入社すると『思った内容と違う、自分には難しい』とか色々理由はあるだろう。でもそれが普通であり、100%思った通りの会社なんて自分が経営者でもつくれない。
■職業認識は働き甲斐につながる
例えば、自分は美容師になって人の髪を綺麗にしたい、自分はサーカスで頑張っていきたいと思う人は自分の職業ビジョンがはっきりしている。美容業界でチェーン展開をやっているお店の若い方は本当に朝早くから夜遅くまで頑張っている。朝の開店から閉店迄は通常業務をこなし、そこから自分のカット練習をする。終わるのが1時、2時になる。睡眠時間は4、5時間でも一生懸命努力する。
何故かといえば、『自分は美容師になる』という職業ビジョン・職業認識がはっきりしているからである。又、成長している美容師チェーン店は、細部にマニュアルがあり、このカットが出来たら『賃金は幾ら、等級は何級』と努力し甲斐のある動機付け、制度を創っている。
■仕事に誇りを持てない
しかし、通常のメーカー、卸売り業、小売業、サービス業、建設業では『職業ビジョン・職業認識』が入社時からあるかといえば弱い部分である。通常は会社の業務を通し、理解しながら『職業ビジョン・職業認識』を養っていく。
何とか『この会社で、この仕事』で頑張ろうと思い入社するが、その気持ち・意欲がだんだん萎えるのはこの職業ビジョン・職業認識にも関係がある。自分の会社・仕事の意義、お客様をはじめとする関係先へのお役立ち内容が観えず、仕事に誇りを持てない。だから観えるのは『数で測れる要素』の賃金、休日、残業日数、有給消化である。中小企業の労務政策は『数で測れる要素』で勝負したら、分が悪い。
私が尊敬する会社の一つに廃油を回収している会社がある。この会社の社員は『働かされていない』のである。廃油の回収業務は肉体的に大変だし、日曜日も出て頑張るし、朝は早くから夜遅くまで頑張る。でも、『お客様が困っているから』、『私はこの仕事が好きでやっているんだ』という気概が仕事ぶりから伝わる。勿論最初から出来ていたわけではない。自分達の職業認識の価値観を伝える地道な努力があり、出来ているわけである。
職業ビジョン・職業認識がはっきりしている人は元来、自ら育つ力を持っている事が多い。又逆説的に考えると持たないと育つ力を維持発展させる細胞が乏しい事になる。