中小企業に必要な経営技術ノウハウ
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決め事を守らせる技術④ 決め事を守る事が業績決定要因の一つ
チームリーダーの仕事は、決め事をキチンとやらせていく事・・・
■当たり前の事を当たり前のようにやる決定事項ばかり
私も色々な会社の様々な会議に出席するが、この決定事項は凄いと唸るアイデアは3年に1回ぐらいである。どこの会社も当たり前の事を当たり前のようにやる決定事項ばかりである。だから決め事を守る事が業績決定要因の一つになる。
基礎的能力の高い集団は決め事を守る意識が高い。高いから守らせる事に労力を注がなくて済む。結果他の事に注力出来るから、業績も上げやすい。その為には守らせる人を創る、守らせる仕組みを創る事を通じて、決め事を守る風土づくりに邁進してもらいたい。決め事を守る風土づくりは必ず、会社に業績をもたらす。
*守らせるシステムは弊社のヤルゾーシステムをご参照ください
■戦術マネジメントポイント
〇業績対策で今月にやるべき事を明確にする
〇誰が・何を・いつまでに・どのような方法でやるのか
〇その達成基準を決める
〇やるべき事のやり方を知らない、出来ないメンバーに対し方法を教える
〇誰もができるように仕事の標準化と教育を行う
〇チームメンバー全員で決定事項のチェックとコントロール機能を発揮させる
組織は人が動かす。人が組織を動かしやすくする為には、やるべき事をパターン化する事である。やるべき事のパターンを決めないから、習慣化出来ないのです。
■戦闘マネジメントポイント
〇決定事項を最優先業務としてメンバーの行動予定に組ませる
〇チームとしてやるべき事をメンバーに共有させる
〇確認事項等が発生したら、随時にミーティングを行い対策を立てる
〇決定事項の進捗状況を随時、メンバーから報告させる事
〇指示命令に対する報告・連絡を励行させる
全員で決め事を決まったようにやる事です。具体的な計画を作成する段階で決め事は決めます。その決め事に基づく実践です。
チームリーダーの仕事は、決め事をキチンとやらせていく事が最大の仕事となります。その為には、メンバーが協力して、決め事を守る風土を創る事が大事になります。
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決め事を守らせる技術③ 決め事を守らせる人の存在
自分が取組むべき最優先業務を考え、判断し、スケジュール化する事・・・
■決め事分野の社長の躾にも限界がある
中小企業の社長は口うるさい。決め事をやらせる為にしつこく言い続ける。しかし会社の規模が大きくなり始めると、決め事分野の社長の躾にも限界がある。目が届かなくなるからだ。だから役員・部門長がその機能を果たさないと決め事を守らない風土が出来上がる。
最近は叱る役員・幹部の存在が天然記念物になっている。守らせるとは怒る事ではない。何故守れないかを考えさせないと何も解決しない。
それは
〇やり方がわからないのか
〇やり方がまずかったのか
〇計画に無理があったのか
〇それともやる気がないからか
その要因を掴まないと同じ事の繰り返しである。
叱るとは目的を達成する為に導く事であり、その方法として厳しく注意する、目で睨みつける、恥をかかせる等色々ある。決め事を守らせる人をつくるやり方は原始的なやり方である。しかし、風土を創る為にはシステムも利用するが、先導者が意識をしてやらせる事が重要である。躾にエエカッコしてもしょうがない。
■決定事項におけるリーダーの役割
1か月間のやるべき事が具体的に決定事項として決まります。それに従い、全員が役割分担に基づき、決め事を決まったようにやる事が実践。ここで重要となるのが、行動管理です。戦術機能で自分が取組むべき最優先業務を考え、判断し、スケジュール化する事です。
戦闘とは実践力です。目標を達成させるために、日々の仕事に対し、やらざるを得ない仕掛けをつくり、やらせていく方法です。決まった内容を決まったようにやらせていくというのが戦闘です。チームリーダーを含め、全社員が努力して実践する事です。チームリーダーはしつこく、細かく現場業務を指導していくことです。しつこくとは、メンバーにやるべきことをやらせていくことです。細かくとは、メンバーの行動予定を押さえることです。現場指導には色々ありますが、最終的にどこを押さえればいいかというと、メンバーの行動予定です。
いくらやるべき事が明確でやり方がわかっていても、それが行動予定になければ実践できません。このポイントをきちんと押さえることが本当の意味で人を動かす事になります。
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決め事を守らせる技術② 決め事を守らない会社に業績のご褒美は訪れない
本質は守らせる躾をしたから、決め事が決まった様に出来た・・・・
■真の企業体質強化
神様は良く見ている。決め事を守らない会社には、業績が訪れないようにしている。
否、うちの会社の業績は上がっているよと言われる会社もある。しかし真の業績創りにはなっていない。確かに物選びがよいと業績は一時的には上がる。
O社もそうであった。社長のアイデアがよく、高齢者を対象にした旅行ビジネスを30年前から展開した。勿論日本で1番最初の展開である。確かにその狙いは正しかった。一時は年商50億、社員100名を超える企業まで成長された。しかしその社内は方針・決め事を守らない集団であった。ある出来事を境にあっという間に業績は急降下し、青色戸息になってしまった。今ではこの社長のアイデアは大手旅行会社に活用されている。
■守らせる躾の必要性
決め事を守る集団の歴史は最初から守れたわけではない。本質は守らせる躾をしたから、決め事が決まった様に出来たのである。指示命令という基本動作がある。指示命令を出す方は出したつもりだが、出された方は自覚症状がないケースがある。心当たりのある方は多いのではなかろうか。指示命令とは人を動かす事である。人に鎖を付けて動かすと捕まる。具体的に誰が、何を、どのような方法で、目標はいくらで、いつまでにやるかを伝え、やり方が解らなければ教える。そして中間報告はいつしなさいと指示する。当然だが、メモを取らせ、復唱させ、確認させる、これは内容を共有化する為である。
これが指示命令の基本である。これと同じ要領であるが、決定事項はその内容を関係する人に公開し、共有させる。公開、共有化する事で決め事をやらないと職場に居られない風土作りになる。やる人は言われなくてもやる。しかしやらない人はやらない。このやらない人をやらせる環境づくりである。その守らせる躾方法は2種類ある。
守らせる人をつくる事と守らせるシステムをつくる事である。
■業績の良い会社の決め事
業績の良い会社は、決め事を守る意識が高い。高いから守らせる事に労力を注がなくて済む。結果、他の事に注力できるから、業績も上げやすい。組織は人が動かす。人が組織を動かしやすくする為には、やるべき事をパターン化する事である。やるべき事のパターンを決めないから、習慣化出来ない。
戦闘がないチームの特徴は、笛吹けど、踊らない状態のチーム。経営は最終的には実践の勝負です。決まった事を決まった通りに出来ないチームには、業績のご褒美はやってきません。
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決め事を守らせる技術① 決め事を作れないから、烏合の集団になる
社長の大半の悩みを消すには、小難しい理屈はいらない・・・
■人間集団レベルの高い会社は、決め事をキチンと守る
社長の大半の悩みを消すには、小難しい理屈はいらない。
決め事が決まった様に出来れば、社長の苦虫はなくなる。多くの社長はこのテーマで悩む。人間集団レベルの高い会社は、決め事をキチンと守る。決め事を守れる会社は1ランク上の会社である。
何故なら、決め事を守らせる事に労力を割かないで済むからである。5S運動の躾である。言ってもやらない集団、言ったら何とかやる集団、言われなくてもやる集団ではどの集団の業績が良いかは一目瞭然である。
■決め事とは人を動かす第一歩
決め事とは人を動かす第一歩です。チームで今月やらなければならない決め事を全員が共通認識として持つ事です。決め事を守らせる為には決めっ放しの防止をするキメ細かいチェックシステムの構築が必要で、全メンバーがその進み具合がわかるようにするのがポイントです。ここを疎かにすると、真面目にやるより、やらなくても何も言われないので『チームにやらない風土』が蔓延します。
■決め事の種類
決め事とは『誰が、何を、どのような方法で、目標はいくらで、いつまでにやるか』を決める事である。
この決め事を発生させる種類は
〇業績
〇経営方針
〇基本動作
〇会社のルールに関するものに大別される。
そして、その決め事を決める機会は会議、ミーテイング、上長からの指示命令である。井戸端会議と業績検討会議の違いは決め事が出るかでないかである。井戸端会議の特徴は反省の在り方に表れる。やるべき決定事項が明確でないから、出てきた数字の反省しか出来ない。目標に対して上か下か、その理由は毎月鋳型で作った恒例の反省内容を繰り返す。
■毎年同じ時期に同じ事をやる決定事項が基本ベース
何を、いつから、どうしたから業績はこうなったと真の要因を掴む習性が身に付いていない。良い時もあれば悪い時もある。大事な事は何故良かったのか、悪かったのか、その要因を掴まないと学習能力は高まらないし、学習効果は発揮できない。だから、人が育たないし、業務の改善が出来ないし、業績が上がらない。
私の経験で観ると、どの会社・店も毎年同じ時期に同じ事をやる決定事項が基本ベースである。月別の製品製造、商品販売の実績をみれば解る。現環境下では同じ仕事を同じやり方で3年やると間違いなくマンネリになる。学習能力・効果が発揮できない組織は再現化と予防化が出来ない。再現化とは出来ない人を出来るようにする事であり、予防化とは失敗を繰り返さない事である。
これがノウハウである。ノウハウは貯まらず、マンネリばかり貯め込んで、いつもデタトコ勝負を挑む戦い方になるから苦戦する。
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成果を上げる全社員参画型の経営計画書作成⑥ 毎月のチェックしていく反復連打活用法
経営計画書は、作るのが目的ではない・・・
■実践具体策の実施状況を確認
計画書が作成された後の計画書の運用です。各部門の実践具体策の進捗状況の確認方法。実践具体策のスケジュールの該当月末にその項目を『やったか、やっていないか』、そして『その状況はどうか』を確認する。
その基準は
〇全然やっていない0点
〇取り組み始めた1点
〇本格的に取り組んだ2点
〇成果が出てきた3点
〇よく出来た4点の観点でチェックする。
■全員で活用
この経営計画書は、作るのが目的ではない。重要なのは、全社員による作成、活用する事である。経営方針を経営者が作り、発表する。発表したから後は皆でやりなさいでは経営方針の意味が理解できず、具体的に動けないので、方針が浸透しないのである。ならば、最初の作る段階で、全社員に方針を落し込む流れで作る方がわかりやすい。
初めて作る会社の社員は何か新しい事をやらされる感覚になる。最初から全社員が協力してやるスタンスは直ぐに揃わないのも事実である。しかし、何回か繰り返すと定着してくる。現場で活用出来る中身を前提として、全社員で考え、作成するから、実践度合いが高まる。全社員参画型作成・運営方法が大事になる。
計画書は対外的なものではなく、社内の問題である。やはり使える内容にして、徹底して使っていただきたい。
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成果を上げる全社員参画型の経営計画書作成⑤ 業績の上がる経営計画書の作成方法
業績を決める決定要因を経営方針にする・・・・
■経営基本方針とは
3月決算の会社なら、4月1日から3月31日までの1年間12回戦の戦い方を、どういう方向性をもって戦っていくかを明確にする事である。
〇今年は売上高を上げる年
〇今年は粗利益高を重視する
〇今年は資金の回転を最重要項目にする等である。
これが経営基本方針である。つまり経営基本方針のレールを引く事により、正確に、そして迷える者を少なくして、ゴールに辿りつかせる可能性を高くする事が出来る。つまり、経営の要素と呼ばれる人・物・金・管理と、経営の機能と呼ばれる営業部門・製造部門・総務経理部門が1年間、どういう方向にどのような走り方をするか、そのレールを明確に示していく。これが経営部門の方針=経営基本方針ということになる。逆説的に観ると、経営基本方針を打ち出さないと、経営部門の機能は果たしていない。即ち、経営者並びに経営陣の基本的にして、最大かつ重要な仕事をしていないと言わざるを得ない
■経営基本方針は総論では絶対に効果なし
総論では重点・集中・徹底テーマが絞れず、戦う前から負け戦である。経営は限られた時間・資源等での戦いであるので、絞らないと中小企業は勝てない。
例えば、駄目な経営スローガンとして
〇チームワークで頑張ろう
〇世の中に認められる企業になろうがある。
気持ちはわかるが、具体的に『誰が、何を、どのように、どのくらいで、いつまでに』の決め事がないと実践は出来ないし、最大の問題は業績に貢献しにくい。
■今期の業績を決定する要因を掴み、その要因を具体的な商材にしていく。
今期の経営部門の業績決定要因とは、1年間、12回戦の戦い方の中で、何を最重要ポイントとして推進徹底させるかである。この業績を決める決定要因が何なのかをよく検討した上で、それを経営方針にするのが一番わかりやすいし、経営の運営方法としては非常にやりやすい。
これが、業績の上がる経営計画書の一番理想的な作成方法である。
Aスーパーは売上高向上の為には客数UPが必要と検討し、その為には固定客の来店頻度UPが必要だと考えた。此処まではよくある事である。具体的に固定客の来店頻度UPをどのようにしていくかである。そこでその方策を商材化しなければ具体的な動きは出来ない。Aスーパーはその為に会員制度導入を決めた。会員募集促進を図る為に販促割引カレンダーの親展を商材とし、徹底させる事を業績決定要因とした。
受注産業のメーカーB社は、今期の受注残から見て、売上が12億から9億と、3億下がる予測を立てた。このB社が考えた業績決定要因は、『減収減益の社内システムの改善』である。受注から見て、売上は下がる。しかし減収でも、同じ利益が出るようなシステムに社内をつくり変えようと検討した。
そして打ち出した経営基本方針が売上は9億でも利益の出る体制である。
その経営基本方針を受けて、B社のある部門の重点方針は
〇DRの実施率
〇材料費コストダウンを5%
〇開発費のコストダウン10%
〇設定工数を縮める 等と展開した。
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成果を上げる全社員参画型の経営計画書作成④ 計画書づくりへ参画させる事が実践的な教育
羅針盤づくりに参画する事は遭難=仕事に迷う事が少なくなる・・・
■経営計画書の基本的作成項目
経営計画書の基本的作成項目は以下の通り。
〇経営理念
〇長期ビジョン
〇中期経営戦略
〇前期の反省
〇今期の業績決定要因
〇経営基本方針
〇経営態組織図
〇経営基本数値
〇部門スローガン及び実践具体策
〇重点顧客対策
〇年間教育計画
〇年間行事計画
〇今期の重点基本動作
〇今期の人事考課項目です。
この基本項目を作成する方法として、経営部門と各部門作成分に分かれて作成します。◇経営部門担当
経営者・役員で作成項目は(経営理念から経営基本数値)です。
◇各部門担当
全社員が担当して作成項目は(部門スローガン及び実践具体策・今期の重点基本動作・今期の人事考課項目となります。
◇該当部門担当
重点顧客対策・年間教育計画・年間行事計画は該当部門が担当します。
■作成の流れ(経営部門作成)
先ず、経営理念から経営基本数値迄を経営部門担当の経営者・役員・幹部が作成する。経営理念がある場合は、それを活用していく。次に長期ビジョン・中期経営戦略は既に作成されたものがあれば、その内容の進捗状況に合わせ、修正をすればよい。なければ作成していく。
次に『前期の反省』であるが、昨年決めた数値目標、実践具体策がどのぐらい出来ているかを確認する。この反省は数字の部分とやるべき事の2点から考え、学習能力・効果として発揮できるものを本年度に活かす。
次に今年の業績ポイントである今期の業績決定要因と今年1年間の経営基本方針を考える。そして『経営態組織図』、『基本数値目標』の部分を経営部門で作成する。
■作成の流れ(経営部門作成項目に周知徹底)
経営部門作成分が出来たら、社長・役員・部門長・部門NO2クラスを集める。そして経営部門の内容を発表し、経営の方向性・内容の確認や各部門の作成ポイントを指示する。
次に各部門長・NO2が経営部門の内容を確認したら、各部門の具体策を立案する。
具体的には
◇今期部門方針
◇今期の業績ベースの確認
◇今期の業績決定要因(最重要項目・ポイント・真の業績決定要因)
◇今期の重点ポイントを作成する。
上記が出来たら、社長・役員に提出し、承認をもらう。そして作成内容でよければ次の作成段階に進む。作成内容がダメであれば、もう一度作り直す(承認が出るまでキャッチボールの繰り返し)。
■作成の流れ(部門内での作成)
次に部門長が部門全員を集めて、経営方針・各部門の内容を発表し、内容の確認・自部門の作成ポイントを指示する。
具体的には
◇数値目標(差額商材・ギャップ対策)
◇実践具体策(5W2H方式による決定事項の作成)である。
この時の作成ポイントは3ヵ月単位で作成する事である。部門単位で1年先までの具体策を作成しても、スピード変化の激しい現環境下では3ヵ月ぐらいで内容が現状と合わなくなる。
つまり、会社の方向性・今年1年の目標・方針をよく理解させ、その上で自部門の目標・方針・具体策を示す。そして社員一人ひとりに目標・役割・やるべき事を考えさせる。この過程が参画意識を高めさせ、社員1人1人の現場力を高める。羅針盤づくりに参画する事は遭難=仕事に迷う事が少なくなる。
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成果を上げる全社員参画型の経営計画書作成③ 社長一人で作成するから失敗する経営計画書
後継者は全社員参画公開型経営での一体感づくりが向いている・・・
■公開経営に基づく全員参画が基本
この経営善計画書は経営者が独りで作成するものではない。経営者が独りで作成するから、方針が浸透しないのである。いろいろなやり方、手法があって、経営者が独りで計画書をつくるケースがある。それは経営全体の計画書ではなく、経営部門の計画書である。そこを誤解されがちである。
経営部門の計画書をつくって、経営部門の方針を、各部の方針に落とし込んでいかないから、全体の経営方針にならない。だから方針が浸透しないのである。経営組織態強化の原則からすると、経営者が方針・商材戦略を練り、幹部が戦術を考え周知徹底させ、全社員・パートナーが戦闘を役割に応じて実践するから“統一体としての力”が発揮できる。つまり、公開経営に基づく全員参画が基本なのである。
■計画書で一体感をつくる
この階層別の作成段階が最も効果的な実践的教育になり、社員が自己の存在価値・役割認識の確認をする。そして、このことが経営参加意欲の向上につながり、社員層の資質向上へとつながるのである。中小企業の成長の要因の一つは一体感である。創業者がつくってきた一体感のつくり方と、2代目の方、3代目の方がつくる一体感のつくり方は、根本的に違う。
創業者の方は、自分について来いという現場率先垂範型がベースであるが、2代目、3代目がつくる一体感は同じようなやり方では難しい。何故なら、キャラクターが違うからである。だから全社員参画公開型経営での一体感づくりが向いている。その代表的な経営技術が後継者を中心とした経営計画書づくりである。
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果を上げる全社員参画型の経営計画書作成② 経営計画書の本質
計画書をつくらない社長は経営者の仕事をしていないこと・・・
■経営計画書とは
経営計画書とは、企業が計画的にシステマティックに経営を推進し、目的・目標とする成果を収めやすくするための絶対的手段である。経営基盤には押えるべき観点が二つある。一つは経営要素であり、人・物・金・管理である。もう一つは経営機能であり、経営部門・営業部門・製造部門・総務経理部門の各機能である。この経営要素と経営機能を今年1年間どのような方向性に、どのように走らせるかを示す方策が経営計画書である。
■経営における方針の位置づけ
経営における方針の位置づけは組織集団を同じ方向に向かせる下記の原則でいうと4番目に位置する
〇経営理念
〇中期ビジョン
〇構造形成戦略
〇方針
〇商材戦略
〇戦術
〇戦闘
しかし、
〇将来に対して(理念から構造形成戦略)
〇今年に対して(商材戦略から戦闘)の扇の要である。
つまり方針が無ければ将来と今年単年度を結ぶ機能が無い事になり会社、社員は迷ってしまうので、経営運営上、最重要である。
■経営計画書は経営者が独りで作成するものではない
この経営計画書は経営者が独りで作成するものではない。経営者が独りで作成するから、方針が浸透しないのである。経営者が方針・商材戦略を練り、幹部が戦術を考え周知徹底させ、社員・パートナーが戦闘を役割に応じて実践するから統一体としての力が発揮できる。つまり、公開経営に基づく全員参画が基本なのである。
この階層別の作成段階が最も効果的な実践的教育になり、社員が自己の存在価値・役
割を認識する。そして、この事が経営参加意欲の向上につながり、社員層の資質向上へとつながるのである。
■計画書で重要な点
経営計画書において最も重要なことは7点ある。
〇企業の目的・目標を明確にする
〇目標数値(売上高・粗利高・営業利益・経常利益)達成のための戦略・戦術の立案
〇商材推進のために具体的計画の立案・周知徹底と役割分担の明確化
〇公開経営に基づく全員参画が基本
〇できばえの確認(全体・個)と軌道修正ができる仕掛けづくり
〇日常業務の中で使われる実践的な内容に焦点を絞る
〇経営方針達成時の分配のルールを明確化する
経営計画書を作れば、即儲かるのかという疑念を抱いている経営者もいる。結論からいうと儲かる内容の計画書を作らないから儲からない。大半の会社には目標に対する差が必ずある。その差を埋める商いの材料がないと当然だが目標達成できない。この違いを理解すれば儲かる経営計画書が出来る。
計画書をつくり、発表会はやるが、計画書は翌年の発表会まで1年間、机の中に眠っている会社がある。これでは意味がない。この繰り返しが続くと社員は足元を見る。とりあえず、これは1年間の儀式だから、発表会の時間だけ我慢しようと考える。そうすると、知恵を使わない集団になる。だから、計画書は現場で毎月活用せざるを得ない内容でつくらないといけない。
経営計画書は、経営の目的・目標そのものではなく、達成して行くための手段にしか過ぎないが、利益を叩き出せる経営態をつくるには絶対不可欠なものである。
つまり、計画書をつくらない社長は経営者の仕事をしていないことになるのだ。
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成果を上げる全社員参画型の経営計画書作成① 会社の成長と共に必要な経営計画書
伸びている会社の社長はしつこい・・・・
■方針の必然性
創業当初には、獣道をつくりは走り、見つけては走って行く。業績が安定期に入りつつある状態になれば、企業規模も10人、30人と大きくなり、いつまでも獣道を走っていては道に迷ってしまう。そこで必要となるのが道標をつくり、獣道を整備する事であり、この道標をつくる事こそが“方針”であり、社長の仕事である。
成果となって表れる経営計画という目標を具現化するための指針となる道標が“方針”なのである。
■ 方針と経営
方針なき集団の計画には計画を立案した当事者の自己満足が多い。それは何故か。
計画とは目に見えるものであり、方針とは目に見えないものであるからだ。方針とは、まるで生き物であるかの様に丁寧に水をやり、陽の光を当てなければすぐ枯れる。方針が真に“方針”と為るのは、根づかせ、そして血を通わせるからだ。血を通わせるとは「社員に対して常にそのことを訴え続け、浸透させること」である。
だから伸びている会社の社長はしつこい。これをやったか、あれをやったか、早くしろと、同じことを繰り返し言い続ける。基本的な事、当たり前の事を当たり前に出来るように口やかましく言う。定着させる為には大事な事である。中小企業の社長はそういう面では疲れる。しかし、やらないと誰もやってくれない。例えば、中堅会社になると、社長が言わなくても、定着させる技術を持っている。それが経営企画室であったりする。その機能の存在が中小企業にはないから、経営部門の発想が必要となる。
■方針のある計画とは
方針のある計画とは、喜びを醸し出すものであり、成長を助成するものであるが故、それをつくることは経営者の最大の仕事となる。自分の事を真剣に考える優秀な人にとって、組織での自分の目標、役割が明確でないと働きがい、遣り甲斐がない会社に映り辞めてしまう。
思い付きの経営から脱皮することが利益を叩き出して行くためのルールと基準づくりのスタートとなり、公開経営へ発展して行くためにも、方針という道標は絶対不可欠な条件となる。その道標を経営の要素・機能毎にまとめた羅針盤が、経営計画書である。
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組織集団を統一させる原則⑧ 戦闘とは決まった事を決まった通りにやらせる事
業績の良い会社は、決め事を守る意識が高い・・・・
■戦闘の機能
業績づくり対策の実践策として1か月間のやるべき事が具体的に決定事項として決まります。それに従い、全員が役割分担に基づき、決め事を決まったようにやる事が戦闘の重要な機能。
■メンバーが協力して決め事を実践していく戦闘
戦闘とは実践力です。目標を達成させるために、日々の仕事に対し、やらざるを得ない仕掛けをつくり、やらせていく方法です。決まった内容を決まったようにやらせていくというのが戦闘であり、役割分担による日常業務・具体策の実践です。チームリーダーを含め、全社員が努力して実践する事です。
チームリーダーはしつこく、細かく現場業務を指導していくことです。しつこくとは、メンバーにやるべきことをやらせていくことです。細かくとは、メンバーの行動予定を押さえることです。現場指導には色々ありますが、最終的にどこを押さえればいいかというと、メンバーの行動予定です。いくらやるべき事が明確でやり方がわかっていても、それが行動予定になければ実践できません。このポイントをきちんと押さえることが本当の意味で人を動かす事になります。
■戦闘がないチームの特徴は、笛吹けど、踊らない状態のチーム
業績の良い会社は、決め事を守る意識が高い。高いから守らせる事に労力を注がなくて済む。結果、他の事に注力できるから、業績も上げやすい。組織は人が動かす。
人が組織を動かしやすくする為には、やるべき事をパターン化する事である。やるべき事のパターンを決めないから、習慣化出来ない。戦闘がないチームの特徴は、笛吹けど、踊らない状態のチーム。
経営は最終的には実践の勝負です。決まった事を決まった通りに出来ないチームには、業績のご褒美はやってきません。
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組織集団を統一させる原則⑦ 戦術とは人を動かす方策を決めて周知徹底させる事
マネジメントの本質は、決めた事を決めた通りにやらせていく事・・・
■戦術は人を動かす事
戦術とは人を動かす方策であり、ポイントは2つあり、マネジメントとHOW TOです。マネジメントの本質は、決めた事を決めた通りにやらせていく事です。HOW TOはノウハウであり、仕事の標準化です。組織は人が動かします。人が組織を動かしやすくする為には、やるべきことをパターン化する事。やるべき事のパターンを決めないから習慣化できにくいです。そのやるべき事をパターン化する代表的な経営施策が経営計画書や業績検討というものです。
■具体的計画の立案と周知徹底
訓練せずにぶっつけ本番で勝負しない事である。
具体的計画の立案と周知徹底は、目標が決まると、それをどういう方法で実践するかを具体的に考え、計画を作る事である。部門単位で考えると部門長が具体的な計画を作る。そしてその内容・方法をメンバーに周知徹底させなければいけない。
目標に向けての具体的な道順・手順・段取り・方法を皆に理解させ、出来るように訓練させる。
この周知徹底させる段階で
〇やり方がよくわからない
〇やった事がない等色々な問題が出る。
やり方をキチンと教えていく事も含めた周知徹底である。これが非常に重要である。中小企業の業務の問題点は標準化である。平たく言うと出来る人と出来ない人を作らない事である。業績の上がらない会社・部門は計画だけ作り、訓練せずにぶっつけ本番で勝負するから負ける確率が高くなる。
それを踏まえ、誰が何をいつまでにどういう方法でやるのかを5W2H形式にて役割分担を図る。
■出来映えの確認(全体と個)
問題の早期発見である。出来映えの確認とはチェックをする事である。
つまり、決め事が
〇キチンと消化されているかいないか
〇消化されていないものはどういうものなのか
〇誰がやっていないのかを確認する事である。
又、数値的な面で見ると今現状の進捗状況はどのぐらいで、月末までの見込みはどのぐらいになるかを考えていく事である。出来映えの確認の機能がないと、いくら具体的な計画を作って、役割分担しても、1カ月間ノーチェックで経過するから、月末に締めて出てきた結果が業績であるという発想になる。
業績が出たと業績を叩き出したでは根本的に違う。
途中のプロセスをキチンと確認していく事は業績を創り上げていくのと同時に成功事例、失敗事例の要因も押える事にもなる。これが会社固有のノウハウになる。
そのチェックポイントは、当月の対策は毎日、翌月以降の対策は毎週単位で実施していく。
■決め事の在庫はいらない
問題点の早期治療である。月初に決めた内容は月中・月末の間で状況変化が起こる。それに対し、素早く問題点を見つけ、軌道修正処理を行うのがスピードのある会社である。スピードのない会社は稼動日数ゴールに着いて、初めて問題があった事に気づくし、決め事も消化せずにいるから決め事の在庫の山を築く。これでは戦えない。
決め事は月をまたがないのが原則である。
やらなければならない事を当月中に終わらせる事が肝要であり、決め事の在庫はいらない。
軌道修正は現場の事を日々見つめるから、すぐに行う事が出来る。又、判断能力の高い現場長が居るとスピードよく対応できる。何から何まで経営者に頼る組織の場合は、この軌道修正のスピードが余りにも遅い。ましてや中小企業の場合は、報告・連絡・相談という重要基本動作が非常に苦手である。社長から連絡しないと部門長からは連絡が来ないという風土はありませんか。
そういう風土なら、軌道修正が必要な時でも、社長と会わなかったら軌道修正をかけられなくなる。このような部門長は決め事の在庫の山を築き、業績はさっぱりの状態になる。
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組織集団を統一させる原則⑥ 商材戦略とは目標に対する差額・ギャップを埋める対策
差額を埋める商いの材料を考えて、初めて達成出来る条件が出来る・・・
■商材とは
商材とは商いの材料であり、商材戦略とは目標を達成させる差額・ギャップ対策である。営業や製造部門のように数値目標の場合は差額対策となり、管理部門や業務部門のよう定性目標の場合はギャップ対応策をつくる戦略である。例えば、売上が去年8億で、今年は9億にしたい。この1億足りない部分を見つけだすのが商材である。
それを
〇売上でカバーするのか
〇粗利でカバーするのか
〇それともコストを下げる事によってカバーするのか
〇回転でカバーするのか等と色々なカバーの仕方がある。
■差額やギャップを埋めようとする発想
会社の中に商材という言葉がある会社は、差額やギャップを埋めようとする発想がある。大体、業績の概念は、会社によって違う。ある会社は売上高で考え、ある会社は営業利益で考えたりする。我が社の経営部門の業績、各部門の業績は何かを決めなければならない。例えば、経営部門の業績は経常収支で資金の帳尻を合わせる事、営業部門は粗利で帳尻を合わせる事等、色々な業績項目がある。いずれにしても、商いの材料をどのように創るかが、商材の戦略である。
■商材戦略は差額やギャップ対策
経営計画書で、去年は8億で今年は9億やりたい。それはそれでよいが、その差額を埋める根拠となる商いの材料がなかったら、9億を達成するわけがない。
だから経営計画書を作る時に誤解されるのは、経営計画書をつくれば業績が上がると思う方がいるが、作るだけでは業績は絶対に上がらない。差額を埋める商いの材料を考えて、初めて達成出来る条件が出来る事になる。
つまり、商材戦略は数値目標や定性目標を達成させる根拠づくりで、差額やギャップ対策である。
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組織集団を統一させる原則⑤ 方針は経営運営において最重要な扇の要
経営運営上、骨格の腰の部分に当り最重要である・・・
■方針とはレール
方針とはレールである。
目的地に目的通りに行く為には、電車と車なら、電車の方が確率は高い。それは何故か。電車にはレールがあるからだ。車は幾ら自分が気を付けてもぶつけられるし、渋滞があれば目的通りには行けない。
会社の方針とは『今年1年間どのような方向性を持って戦うか』を全社員が迷わないようにレール敷く事である。これを形に現したのが経営計画書である。
■方針浸透には血を通わせる
この方針は目に見えないものである。だから方針とは、まるで生き物であるかの様に丁寧に水をやり、陽の光を当てなければすぐ枯れる。方針が真に“方針”と為るのは、根づかせ、そして血を通わせるからだ。血を通わせるとは、社員に対して常にそのことを訴え続け、浸透させることである。方針のある計画とは、喜びを醸し出すものであり、成長を助成するものであるが故、それをつくることは経営者の最大の仕事となる。
方針の位置づけは統一の原則の4番目に位置する。
〇将来に対する方向性
〇今年の業績づくりに対する扇の要である。
方針が無ければ将来と今年単年度を結ぶ機能が無い事になる。そうすると社員は迷ってしまう。経営運営上、骨格の腰の部分に当り、最重要である。
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組織集団を統一させる原則④ 構造形成戦略は自社の最適な場所を発見する事
最も運営がしやすい経営の規模・方法を探求していく事で・・・
■我が社の最適な場所
最適な場所とは1番運営しやすい・利益を出しやすい規模、方法を見つける事である。経営は環境適応業で、環境はドラステイックに変化している。経営慣習を全面否定する事が大切である。従来からの経営慣習で経営者が無意識に行っている経営諸施策は沢山ある。例えば、減少経営になってきており、いたずらに売上拡大を志向すると逆に自社の存在価値が失わる事になりかねない時代になっている。
自社が継続して栄える為には従来の当たり前の慣習を見直す時にきている。自社の経営にとって無意識の慣習を見直し、最適な場所を発見し、構造を形成する戦略を構築しなければ経営技術の差で他社との競争に敗れてしまう事になる。経営の慣習を一回『オールノー』で見つめ直す事である。人間は習慣の動物。知らず知らずにやっている行為に対して問題意識を持てなくなる。
この経営構造形成戦略は五つから構成される。
〇人・組織戦略
〇物戦略
〇経営技術の戦略
〇資金戦略
〇リスク対応戦略である。
■5つの構造戦略
〇人・組織戦略
最も収益が出やすい人員、雇用形態、人事制度、運営がしやすい売上高の規模フレームを再検討する事である。
〇物戦略
『同じ商品を同じお客様に同じ売り方をする』と間違いなく売上高・粗利益高は10~20%は下がる。現状の商品・顧客構成の安定性を今以上に高める事である。経営には回転性、成長性、収益性と色々な指標があるが、一番肝要な指標は安定性である。安定性があるから成長がある。その方策を検討する事が物戦略である。
〇経営技術戦略
会社を運営する基本の経営技術を磨く事である。
〇資金戦略
経営者・後継者・役員・部門長層を中心として『販売なくして事業なし、資金なくして継栄なし』を真に理解する事であり、実践する事である。
〇リスク対応戦略
不測事態、不測事態が起きた場合の実行停止の基準を事前に予測し決める事である。
例えば売上高が、10%下がったら、どういう手を打つかを考えておく事である。中小企業にとって、最大のリスク対応事項は経営者の一大事である。私も現実に何社も経験しているが、決してヒトゴトではない。
構造形成戦略は我が社の最適な場所、最も運営がしやすい経営の規模・方法を探求していく事である。経営の運営方法を
〇経営者ご自身の性格に合った
〇会社の体質に合った
〇自分の業種に合った最適な場所を見つける事である。
その為に経営の慣習をオールノーで見つめ直す事が大事になる。
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組織集団を統一させる原則③ 中期ビジョンは会社の未来に息吹を入れる役割
社員がビジョンをヒトゴトではなく、我が事として考えるようになるから・・・
■このビジョンは私達に何をもたらしてくれるのか?
会社の未来に息吹を入れる事がビジョン。会社の未来に息吹を入れるとは、会社に夢を持たせる事で、社長、役員、幹部がビジョンをつくり、社員に語りかけ、全社員で実行します。社員に語りかけるとは、このビジョンは私達に何をもたらしてくれるのかという未来の展望を示す事でもあります。
将来、自分達の会社やお店をどのようにしていきたいのか。これを明確にしていく事が大切です。
3年後・5年後・10年後に外部環境変化・内部資源の実態に応じ、
◎どのような会社を創りたいのか?
◎どういう事業をやっていきたいのか?
◎どのような機能を持たせたいのか?
結果として規模的要素の売上高、従業員数等はどうなるのかを構築していきます。
■夢を託せるのがビジョン
ビジョンとは夢・意志であり、作るものである。目指すべき企業像とは会社のグランドデッサンをする事である。『出来る・出来ない』より、先ず風呂敷を広げる事である。会社が経営者の企業観・経営理念に基づき、どうなりたいのかである。
〇社長にとってはどのような会社を創りたいのか
〇社員にとってはどのような会社で働きたいのかである。
確かに長期スパ―ンになるので、願望が強くなる。しかしその願望は経営者の企業観・経営理念に基づき、且つ社員の仕事観・人生観にも基づいている。唯単の願望ではない。だから意味がある。
■ビジョンを語れる会社は成長する
会社の中に夢・意志を与えるのは、社長の役割であり、社長自身が夢を語るのは当然。しかし部門長が、社員にうちの会社の夢はこうなんだよと語れる会社は絶対伸びます。何故なら、社員がビジョンをヒトゴトではなく、我が事として考えるようになるからです。
同じ時間を共有し、共に働き10年経てば会社は10期、個人では10歳の年をとります。この10年の過ごし方にビジョンを掲げ、夢を共有化し、働くか否かでは大きな違いが会社にも個人にもでてくる。単に『会社・職場で時間を過ごしあう集団』を創るからストーリーが生まれず、一体感が生まれない。
どのような人でも生活する為に働く。しかし、生活する為のみに働くから会社への参画意識が生まれない。参画意識がないから、考えないし、仕事を通しての喜び体感度が乏しくなる。体感度がないから、待遇ばかりに目がいく。誰でも夢を持ちたいし、夢を追いかけられる環境に身を置きたい。
働き人として夢を持てる事は幸せである。幸せ人を何人つくれるかも経営者の評価価値です。ある会社は自社を幸せ創造株式会社と位置づけている会社もあります。
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組織集団を統一させる原則② 経営理念はバラバラ集団を統一させる源
会社にDNAがないと人間動物園の放りっぱなしの状態になり、確実に崩壊・・・
■経営理念は経営者の信念
日本において、経営理念を重要視した経営者として松下幸之助氏があげられます。松下幸之助氏は事業経営の一番根本になるのは正しい経営理念であり、経営理念とは、この会社は何の為に存在しているのか、この経営をどういう目的で、またどのようなやり方で行っていくのか、という点についてしっかりした基本の考え方を持つ事であると説明しています。
■家訓なくとも家族はまとまるが、理念なき会社はまとまりにくい
家族に家訓がなくとも同じDNAが流れていますので、家族はまとまりやすい。しかし、会社にはこのDNAはなく、敢えて後付けで作るしかありません。そのDNAとは同じ会社で働く上での考え方や行動の仕方を定めたものです。
中小企業という組織は、育った環境が違う、年代が違う、何が好きか嫌いかという価値観の違う人達が偶然に同地域に住んで、通勤距離が短い等の物理的理由で一つの会社に集まり、組織を作ります。だから会社にDNAがないと人間動物園の放りっぱなしの状態になり、確実に崩壊します。
そもそもチームとは、仕事に必要な数人が集まったから「チーム」になるわけではありません。大前提として、メンバー全員がチーム一員である当事者意識を持ってうえで、チームの共通の目的、達成する目標、それに向かうためのプロセスを共有する集合体がチームであり、チームワークを強化していくには、共同で何かをする前にチームづくりを行わなければなりません。つまり、会社は何もしなければうまく回らない事を前提にチームづくりを行う発想が必要となり、その対策が組織集団を統一させる原則。
■経営理念は集団を統一する源
この経営理念は木の根っこの役割でこれがしっかりしていないと木は成長しません。仮に大きな木の幹・葉をつけていても根っこが腐り始めると木は倒れる。つまり、経営理念が立派でも実際の経営をデタラメにやると目に見える部分の成果は上がらない。正しい経営理念を持つと同時にそれに基づく具体的なビジョン・方針・商材戦略・戦術・戦闘が環境に適合していないといけない。
■日常の考え方・行動を具体的にする行動の原点
『青信号は渡り、赤信号は止まる』。皆が知り、実行するから交通社会は成り立ちます。会社運営においては、会社内で全員が理解できる共通の価値観・言葉がないとバラバラになります。だから会社内の共通語が必要になります。よく、阿吽の呼吸とか俺の目を見ればわかるというが、わからないから会社がうまくいかないのであり、その解決の為に同じ言語を使える同一社族をつくる事が必要となります。
経営理念は、企業の存在意義であり、これから私たちが目指していく目標・姿です。この目標を日常の中で実践していく為に、日常の考え方・行動のありかたを具体的な言葉に表したものが行動の基準。各人がそれぞれの仕事に従事しながら、日々、本当にこれでいいのかと言う問題意識・改善意識を持ち、行動の基準にある考え方・姿勢・行動の仕方に照らし合わせて実践していかなければならない。
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組織集団を統一させる原則① 組織を迷う事なく行動させる集団統一の原則
組織としての当たり前のレベルが上がっていく・・・
■経営運営の最適化
経営の戦いの一つに規模との戦いがある。
従業員の数が10人、30人、50人、100人と増えると当然、『経営の舵取り方法を変えなければ』上手く回らない。人間で例えると、小学生の着る洋服と中学生の着る洋服は違う。小学生が中学生の洋服を着ても元気に遊びにくいだろうし、中学生が小学生の洋服をきても窮屈で動けないだろう。これは骨格が違うから当然の事である。
このように会社の規模が大きくなるとその形態、姿、運営方法を変えなければいけない。自社の経営運営の舵取り方法を最適化するとは、組織の目的・目標達成の為に組織行動を統一させる事。そして組織が迷うことなく行動出来るように強化していく。このポイントが集団統一の原則である。
■集団統一の原則の7要素
種々様々な組織の特徴は『価値観が似ている人』が集まっている。しかし会社組織は価値観・育った環境・年代・性別等の違う人達が集まる。故に、統一させる為に何か明確な意図を企てないと組織として機能しない。その明確な意図が集団統一の原則である。
価値観の違う人達が集まり、人間動物園をつくるのが中小企業である。だから何もしなければ、上手く回らない事を前提に会社運営を考えた方がよい。
この集団統一の原則は7つの要素があり
〇経営理念
〇中期ビジョン
〇構造形成戦略
〇方針
〇商材戦略
〇戦術
〇戦闘である。
この7つの要素をキチンと創る事により、組織が迷うことなく行動出来、考え方、行動の価値判断基準をよく理解できる集団へと変身・成長させる。
■組織を統一させるとは
組織を統一させるとは、集団の行動を右に行けと言えば、皆が右に行く事であり、組織に迷いが無くなる事である。この迷いが無くなる事は組織において大事な事である。
〇我が社のビジョンはこうである
〇今期の方針はこうであると社長が口酸っぱくして言わなくても理解できる集団に成長できるようになる。
そうすると違う部分に労力がシフト出来、組織としての当たり前のレベルが上がっていく。
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経営者に求められる経営技術の構築
経営の王道は継続して栄える事でその為には経営の技術が必要・・・
■物づくりに技術があるように経営にも技術
物づくりに技術があるように経営にも技術がある。
外部環境の影響をもろに受ける中小企業は経営の技術を構築しなければ『社長のやる気=頑張リズムだけ』では続かない。つまり、思い付きの経営から脱皮し、利益を叩き出していく為のルールと基準そしてシステムを創る事が経営の技術である。
経営者が経営者になられた動機、理由は人それぞれ。しかし、現在経営者である事には変わらない。何らかの業種・地域を選択して、経済活動を通じて独自の目的・目標を持つ組織を運営する責任者が、経営者である。
■経営の技術
組織の目的・目標を決定する事は、政治、スポーツ、どういう組織でも必ずトップの役割である。企業運営においては、経営者の仕事になる。法人に息吹を入れる目的、目標を創らない、又は創れない経営者は、結論から申し上げると経営者ではない。
経営者の出身畑を考えると圧倒的に多いのは営業出身。販売なくして事業なしは経営の基本中の基本であるから、必然的に営業出身の社長が多くなる。その次は製造畑の社長。つまり、商品を販売する技術、物をつくる技術に長けている方は創業者になっても獣道を見つけては走り、広げていく事が出来る。結果、会社は10年間で生き残る確率が20%とも30%とも言われる難しいハードルを何回も何回もくぐり越え、今日がある。
しかし経営者の仕事を考えた時に『物を売るだけの技術』、『物をつくるだけの技術』だけではいけない。そこに必要なものが経営の技術である。私共中小企業は、体から汗を流し、脳みそから知恵を搾り出し、魂から情熱をほとばしりながら、必死に生き抜き豊かな明日を信じ、夢を追いかけ成長してまいりました。
経営の王道は継続して栄える事で、良いときもあれば悪いときもある。良い状態を如何に長く継続させるか、悪くなる状態を如何に早く察知し、脱却できるかはその企業が持つ経営技術の差であると確信します。
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